夏場ときどき目にするギンリョウソウです。腐植の多い林床に発生します。「これも高等植物」と説明すると驚かれる方も多くて、一般の人にとっては常識を逸脱した花です。寄生植物ではなく腐生植物。生物由来の有機物を分解して生きているわけですから、キノコ類と同じ生態的地位にあります。こういう視点で見ると植物の世界も千差万別で進化の面白さを感じます。食虫植物のように動物(昆虫)から栄養を摂取するなどというものもあるわけですから、植物=独立栄養生物とはいえません。
ギンリョウソウが出ている脇にはシャクジョウソウがありました。こんな近いところで2種が揃い踏みとは・・、観察には絶好の機会です。ギンリョウソウと同じく腐生植物ですが、花は細身で小さく色も黄色実を帯びています。うつむき加減のときはつぼみのときで、配架する頃は上向きになってきます。上向きになるに従って汚れが目立ち、結実するとまもなく茎は黒く枯れ崩れ落ちますから、写真にして美しいのはつぼみの頃。それでシャクジョウソウの写真はうつむき状態で紹介されることが多いのです。ついついその形が本来の形かと錯覚することになりますね。