森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

昨年のタカアザミの枯れた株

2017年06月10日 | 自然観察日記
タカアザミという種があります。県内ではあまり見られない名前の通り高性のアザミです。昨年里山フィールドミュージアムで育てたものが枯れた状態でスギナなどの生い茂る草原に立っています。この種は二年生の草本という解釈で、発芽一年目は根生葉だけで花茎を立てず翌年スルスルと花茎を伸ばし秋に開花するという性質があります。高さは成長したものは2m以上にもなる種です。花は3cmほどの頭花が沢山下向きに付きます(「点頭する」といいます)。

枯れるはずの株から芽を出した個体

2017年06月10日 | 自然観察日記
今回、話題に取り上げた理由は二年生のはずが枯死する予定の株から芽が出ていることに気づいたこと。昨年育って開花したものの多くは枯れていますが、よく見ると茂った草に覆われながら昨年開花した株から芽が出て成長しているものがかなりあります。これでは「二年生」の種とは言えません。多年生の種扱いをしなければなりません。一般の図説や解説書とは現実は異なるということをここでも発見しました。書物を鵜呑みにしてはいけないという一つの教訓でしょうか。自然界には例外と言いますかこれまでの考え方とは異なる事象が沢山あると思っています。人が言ったことが正しいのではなく、目の前にある自然の対象が正しい。自然は奥が深いですね。だから面白いのです。

茎頂につぼみ(花)?

2017年06月10日 | 自然観察日記
さらに不思議なことはスルスルと伸びだした3年目の茎の先端に何やらつぼみのような構造体が見られます。それも、どの株もです。ノアザミは春に咲くアザミですからつぼみが上がってくるのは不思議ではありませんがタカアザミは秋のアザミ。五月の段階でつぼみとはどう考えても不自然です。

つぼみ(花)? 拡大

2017年06月10日 | 自然観察日記
どのつぼみをみても奇形です。整った形状のつぼみを探しましたが無いようです。雰囲気はつぼみ(花)なのですが、つぼみ(花)ではないのかもしれません。こんな奇形でも開花するのかどうか、継続観察を行っていくしかありません。その後の変化を後日お知らせできたら行いたいと思います。
本来のタカアザミの株は種子が発芽したものは小さいながら順調に根生葉を出して生育しています。一作年に発芽したものは現在はまだやや大きめですが根生葉のみを出していて生育中です。秋に花茎を伸ばすはずです。

タカアザミの狂い咲き

2017年06月10日 | 自然観察日記
2週間後、ついに秋に咲くとされるタカアザミが咲きました。越年草とされるタカアザミは花を咲かせた株が越冬すると生き残る場合は春に再び開花する!すべての個体がそうなるわけではありませんが越冬した株がかなりあることも驚き。その中に狂い咲きで春に花を見せる個体も生じるということも驚きです。