森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

実りの秋 その6 ナラタケ大収穫

2006年10月21日 | きのこ・菌類
 とにかく「足の踏み場もない」というのはこういう状態をいのであろう。どこから手をつけて良いのか迷ってしまう。害菌などといって敬遠していても始まらない。発生してしまったものは仕方ないから、採取して食べることにつきる。これが、結構美味しいキノコで越後では「あまんだれ」とよんで非常にもてはやされる。
 朝早く採取しいく袋にも分けて会社に持ち込んだ。この日はキノコ汁で盛り上がることになる。明日はさらに付近の家におすそ分けをしなければならないだろう。

ナラタケ(キシメジ科) その2

2006年10月21日 | きのこ・菌類
 害菌として扱われるナラタケではあるが、自然界ではセルロースやリグニンの分解作用を積極的にしてくれる重要な分解者となる。これらの菌がいて初めて自然の物質循環が成り立つ。
 とはいえ、ここは私の「庭」。ここまで大量に発生すると少々不気味で、植えてある樹木への影響など心配せずにはおれない。今後はせっせと抑えに回らないといけないようだ。幸い付近には果樹などの樹木はない。

ナラタケ(キシメジ科) その1

2006年10月21日 | きのこ・菌類
 地震の前年庭の片隅に胞子を散布した。中越地震の時に混乱の最中ナラタケが発生したが十分な利用をしないで放置。昨年はそれほどの発生量でなく大して気にもしないでいたのだが今年は少々事情が違う。
 そろそろ発生するかなと気にはしていたが、ここ数日帰宅時間が遅く庭を見る機会がなかった。今朝早めに起きて見るとワッと発生しているではないか。
 木材腐朽菌として林業では嫌われ者で枯死した樹木のみならず生きている樹木にも取り付き病気を発生させることが知られている。

スギヒラタケ(キシメジ科)

2006年10月20日 | きのこ・菌類
 スギヒラタケは数奇な運命をたどっている。平成16年に急性脳症で死亡する事故が起こったが原因がスギヒラタケを食したことだという。厚生労働省から、腎機能が低下している人に対する安全性が確認されるまでの間、食べないように注意が喚起された。以後原因究明を行っているようだが、明確な因果関係が明らかになったという話を聞いていない。
 しかし、今は「毒茸」と認識されたのか採取する人はほとんどいなくなったようで、山には沢山あるのだそうだ。そういう私も食べようという気持ちは湧かない一人で、様子見を決め込んでいる。かってはスーパーに並んだものだが、その変わりようは著しい。

キッコウハグマ(キク科)

2006年10月20日 | 自然観察日記
 雑木林の林床にキッコウハグマが点在する。葉の形から「亀甲」といわれるのだろうが、ロゼット葉が整っていて美しい。他の植物が生えていないような裸地に近いところでよく見つかる。花柄が伸びてつぼみが付いているが閉鎖花が多いようだ。まだ花の時期には早いのか、開花しているものは一つもない。以前オクモミジハグマを取り上げたが花は同じような感じである。開花株に出会うにはもう少し待つ必要がある。その頃また訪れてみよう。

ベニテングタケ(テングタケ科)

2006年10月19日 | きのこ・菌類
 これが食用であったらかなり盛り上がったのだが、残念ながらこのままでは無理である。北欧では処理をして利用しているというような話を聞いたことがあるが、見るだけに留めておく。
 絵になるキノコでしばしばイラストなどにもなっている。この日は十数本の大きな個体が菌輪を作って成育している場所に出くわして、感嘆の声を上げるくらいであった。普通夏のキノコとして扱われるからこの時期これほどの個体数に出くわすことはまれなのではないだろうか。

採ったばかりのキノコで作ったキノコ汁

2006年10月19日 | 自然観察日記
 十数名では処理しきれないくらい沢山できた。美味しいことは言うまでもないが、お腹は結構小さくてあてがわれる量が多く「苦しい!」。それぞれの方が持参された自慢の品も沢山出てきて贅の限りである。秋の山はいい。

妙高笹ヶ峰紅葉

2006年10月19日 | 風景
 秋の笹ヶ峰を訪れた。晴天が続き紅葉が盛りで本当にすがすがしい時を過ごすことが出来た。十数名の方々を連れての秋の観察会というけれど、実際はキノコを探して食べることが目的。周囲の景色を堪能するという心根でなくハンターになっていたようだ。私自身はあまり見つけられなかったが数は力で目が多くなるとそれに比して採取されるキノコも多くなる。皆で十分楽しむことが出来た。

ヒイロチャワンタケ(チャワンタケ科)

2006年10月18日 | きのこ・菌類
 山道などの裸地によく生える。色が鮮やかだからとても目を引く。形も面白い。茶碗の形になり胞子は外側の表面に作られる。
 今回の観察会の主役になった。1m平方範囲に沢山出ていてちょっとした花園。色や形に特徴がないと人は関心を示さないものだと再確認した。私は食したことはないが食べることができるキノコだ。

ノコンギク(キク科)

2006年10月18日 | 自然観察日記
 「ゆうぎ」の散策路で見かけた花にノコンギクがあった。どこにでもあるものだが似たものが多く紛らわしいかもしれない。触ると全体にざらざらしている。
 同行した子供たちから「これは何」という質問も出ないから、コメントは何もしなかった。しかし、暖かい日差しを浴びたノコンギクは結構輝いていたと思うのだが。他にもっと気を引く対象があったのだろうか。

自然体験教室「ゆうぎ」遊歩道

2006年10月18日 | 風景
 柏崎の西山に自然体験教室「ゆうぎ」という施設がある。ログハウスやオートキャンプ場も兼ねた公営施設。遊歩道が整備されていて、そこで地元の中学生を対象に自然観察会を行った。総勢60名くらいで3班に分かれての観察会、秋晴れの中気持ちのいい体験学習になった。
 西山丘陵の典型的な里山でマツやコナラが目立つ。高低差もあまりなく体力のない方でも楽しめるところというのがうたい文句。ただ、秋のこの時期は子供たちの関心を呼ぶ対象が見つけにくくキノコが中心になってしまった。

ササクレヒトヨタケ(ヒトヨタケ科)

2006年10月17日 | きのこ・菌類
 とにかく大きい個体で驚いた。高さ18cmくらいはあるし傘は径8cmくらいはあった。別種かとも思ったが特徴からすればササクレヒトヨタケになってしまう。普通見かけるものに比べ優に倍はある。栄養がよかったのだろう。キノコは時たま巨大なものが出て新聞の記事になることがある。
 石地海岸の夏季の海水浴客が使用する駐車場に使われる草原に出ていたものである。
 ヒトヨタケは名前の通り直ぐに傘が崩れ端から黒く変色し流れてしまう。食用キノコとして扱われるが食べたことはない。ヒトヨタケは酒と一緒に食すと酩酊するということでも知られているがササクレヒトヨタケは大丈夫らしい。

ギンリョウソウ(イチヤクソウ科)

2006年10月16日 | 自然観察日記
 純白な草姿はやはり強烈なインパクトがある。れっきとした高等植物なのだが、その生活スタイルも独特でおよそ植物からぬものだ。光合成を一切しない。地中にある腐葉土から栄養をとって生活する腐生植物である。ユウレイタケといわれる所以でもある。光の届かない林床で生きていく術を落葉落枝などの分解物から栄養を摂取すること見出したものと考えられる。光合成という植物の原点を放棄したもので、もしプライドというものがあるのならこの変化は並大抵なことではないなぁと勝手に想像している。
 初夏に出るものに比べほっそりしていることなどからアキノギンリョウソウと呼ぶことがある。

ホトトギス(ユリ科)

2006年10月15日 | 自然観察日記
 庭にホトトギスが咲いていた。これは頂いたもので越後には野生したいないはずである。越後に分布する似たものにヤマジノホトトギスがあるのだが、どういうわけかいまだに野生種を見ない。それだけまじめに山歩きをしていない証と言うことになるのだろ。
 鳥と同じ名前の花で、花の紫の斑紋が鳥のホトトギスに似ているとかで付けられたという。鳥のホトトギスの実物を見たことはないが、図鑑では確かに腹の辺りが紫斑がちりばめられている。
 それはそうと、この花が咲くと一段と秋が深まっていく気がするのは私だけではないだろう。