森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

クリタケ

2011年11月23日 | 自然観察日記
別名シモタケともいうクリタケは晩秋のキノコの一つです。里山の晩秋は刈り払いなど山仕事の季節で灌木を刈り払った後には発生したクリタケがしばしば見つかります。
見つかるのはクリタケばかりではありません。先日スズメバチ騒動がありました。オオスズメバチが刈り払い現場に現れて、「巣」があると早合点されその一角が閉鎖されてしまいました。結論から言うと、小型のクロスズメバチの巣が刈り払い現場にあったのですが、灌木が刈り払われたためにその巣がオオスズメバチに見つかってしまい、彼らの餌食になってしまったようなのです。オオスズメバチは他のハチを狩るハンターでクロスズメバチの巣が餌場になったのですね。
このクリタケ、そのクロスズメバチのすぐそばに出ていたものです。それにしても作業中に誰もハチの犠牲にならなかったのは助かりました。

アオハダ 

2011年11月22日 | 自然観察日記
少し前の写真です。里山の代表格の樹種にアオハダもあります。秋は赤い実がとても美しいので私の好きな樹でもあります。アオハダは雌雄異種ということになっていて実の成る樹と成らない樹がありますが、実のつき方には少々癖があります。やたらに沢山付ける樹と付けてもまばらな樹、全くつけない樹。雌雄異株として片付けるのは簡単ですが、雄花雌花を付ける割合がいろいろあるのではないかと思っています。

アオハダ 実

2011年11月22日 | 自然観察日記
沢山つけたアオハダの実を近くで見るのはそんなに簡単ではありません。それなりの高木で下から見上げるのが多いのですが、このときは枝の手繰り寄せに成功し近くでまじまじと観察が出来ました。素敵なきれいな見ですね。さぞ小鳥達にはご馳走なのではないかと思うのですが・・・。
暫らく時間をおいてこの樹を見に行きましたが、枝先にはかなり色を失ったみがまだまだ付いています。さらには黒くなって落ちている実が沢山ありますから、小鳥達には余り人気がない代物だと分かります。

クロハナビラニカワタケ

2011年11月21日 | きのこ・菌類
前種のハナビラニカワタケと同じ木に発生していました。キクラゲと間違いそうな雰囲気なのですが、正確にはクロハナビラニカワタケといいます。本には食用とはありませんが(多分発生量は少ないのでしょう)食べても問題がない種で食感はハナビラニカワタケより固く歯ごたえはしっかりしています。味は特にないようです。私はキクラゲとの区別が付かない感じがしました。

ハナビラニカワタケ

2011年11月20日 | きのこ・菌類
雑木林の枯れ枝によく付いているゼリー質のキノコで一度や二度は見かけたことがあるでしょう。癖がありませんから汁物でもサラダでも利用できます。しっかりした味や香りを持つものではありません。歯ざわりが信条です。
食べることを考えないでこのキノコを観察するのも面白いものです。定番のキノコの形とは似ても似つかないものですし、胞子をどこでどう飛ばすのか不思議です。それにしても綺麗な色彩ではありませんか。

今年度最後のマムシ?

2011年11月19日 | 自然観察日記
里山で危険なものは「マムシ」に「スズメバチ」。野外のイベントがあるたびに一応注意喚起をしています。九分九厘問題がないのですが、万が一ということもあるというので念には念を入れて対応しています。そのマムシが久々に出ました。というより私が目撃したという意味で久々なのですが・・・。個人的にはどうも晩秋に出会う確率が高いように思います。昨年もこの季節に出合ったような・・・。
一応里山の住人ですから一目は置くとしてもあまり出てきて欲しくはないのが本音です。カメラに収めるのもやや腰が引けてしまいました。

シモコシ

2011年11月18日 | 自然観察日記
里山の水田管理の指導をしてくれるYさん、里山占めくくりのイベントに持ち出したのがこのシモコシ。近くの山林でついさっき採集したのだそうで新鮮そのものです。図鑑などの本で学習はしていましたから一見して直ぐに分かりましたが、私は未だに自生しているところに出合ったことがないのです。ちょっと悔しい!ごく近縁種にキシメジがありますが、噛んで味わってみると苦味があるかどうかで判別できます。シモコシは苦味がありません。Yさんこれを洗ったあとに細長く裂いて熱湯で湯がき三杯酢で味付けをしてスタッフに振舞ってくれました。これも新鮮な食べ方で勉強になりました。

アキニレ 紅葉

2011年11月17日 | 自然観察日記
今年のケヤキの紅葉がパッとしない感じでしたが、公園の一角にあったアキニレが人知れずすばらしい色を見せてくれました。それほど大きな木でもなく他の木々の間にあるような位置ですから気づいてくれる人がほとんどいかかったようです。
私自身こんなに美しいアキニレの紅葉に出あったこともありませんでしたから、ほぼ独り占めの幸運に申し訳ない気持ちを持ちながらもしばし堪能。至福の時間をいただきました。

アキニレの実

2011年11月17日 | 自然観察日記
アキニレの実も真っ赤に紅葉しています。くすんだ茶色のイメージでしたがアキニレの実は赤く熟すのでしょうか。これも新発見です。ニレの木といえば大木という印象しかないものですが、豊かな色彩を持つことに驚かされますね。

ムカゴイラクサのムカゴ

2011年11月16日 | 自然観察日記
ムカゴはヤマノイモだけのものではありません。結構多くの植物で見られます。里山にあるのがこのムカゴイラクサのムカゴとウワバミソウのムカゴです。イラクサは山菜としても有名です。「アイコ」といわれ美味しい山菜とされます。新芽を食べますが、少し大きくなった個体には全体に鋭い棘がありこれに触れると痛い思いをすることになります。針の先端から蟻酸が出されるのだそうです。「イラクサ」の語源がこのあたりにあるのです。

ヤマノイモ ムカゴ

2011年11月15日 | 自然観察日記
「いもっこ」とも言われているヤマノイモのムカゴです。先日「秋の実りを味わおう」のイベントでいただきました。スーパーでも見かけるそうですがいいお値段がするのだそうですね。晩秋の山野に行けば簡単に手に入ります。ただし、「ひっつき虫」といわれるいろいろな草がありますからくれぐれも気をつけてください。
このムカゴは栄養繁殖の一手段であることはよく知られていますが、案外そういう目で見ていないのが不思議です。中には「種」とさえ思われているのが現実のようです。

ヤマノイモ 種子

2011年11月15日 | 自然観察日記
実といったほうがいいのでしょう。この翼のついたふくらみが種子です。こちらは有性生殖をして作った子供で、ムカゴとは全く意味が違います。確かにいずれも次世代の個体ですから「子供」なのですが、ムカゴは親と同じ遺伝情報を持つ個体、種子は異なる遺伝情報を持つ個体です。
植物は原則無性生殖と有性生殖の両方を行うことが出来ます。そして有性生殖する個体と無性生殖する個体は本来独立しているのですが、普通に見る種子植物は有性生殖をする個体が無性生殖をする個体の中に組み込まれている構造になっているので少々ややこしい話になってきます。それはそうと動物は有性生殖のみをするものがほとんどですから植物のような混乱は起きません。

サワヒヨドリ斑入り葉

2011年11月14日 | 自然観察日記
少し前の散策で見かけたサワヒヨドリです。いくつかの個体の中に斑入りの個体がありました。斑入りの個体は自然界でも時々見かけます。一般にこの手のものはウイルスに感染してこのような紋様になるとされています。言ってみれば病葉なのですが、そこが良いと園芸化されることが多いのです。従って斑入り個体からウイルスフリーの子供にすれば斑入りは無くなるという理屈になります。

エゾイボタ実

2011年11月13日 | 自然観察日記
ネズミモチという常緑樹が庭木や公園木によく使われていますから、こんな姿の実を見たことはあるのではないでしょうか。本種は落葉性のイボタノキ(エゾイボタ)です。葉の様子はかなり違いはありますが、実はそっくりですね。多くはないですが普通に山野の明るい林に見かける低木ですが、花も実も控えめで目立たない存在です。見つけてやらないといけません。彼も森の住人です。

タイリンヤマハッカのがく筒

2011年11月12日 | 自然観察日記
これは何の花でしょうか?一見花のようですが実は花も実も落ちた後のがく筒なのです。タイリンヤマハッカ、晩秋の野にかすかな艶やかさを演出してくれる野草ですね。
タイリンヤマハッカというとピンと来ない人でもカメバヒキオコシというと聞き覚えがあるかもしれません。カメバヒキオコシの日本海側の種で花も葉も大きめな種です。「カメバ・・」の方が体を現しているのですが・・・。ハッカという言葉がついていてもハッカ臭はありません。