鮮やかな花ですから栽培されたものはときどき目にします。エキゾチックな花ですから外国からの移入種かと思ったこともありますが在来種であることに改めて感激です。こういう花が自然界に普通に自生している国であるといいなぁと思う次第です。
ときどき登場する花です。華やかな種ではありませんが、いかにも山野草という感じが好きです。品のある美しさを持っています。以前の認識ではオクモミジハグマは東北以西の日本海側の山地に生育する種というものでしたが、山形の蔵王山塊に自生しているのが気になりました。モミジハグマという変種があります。この種は東北南部から西日本にかけて温帯林下に生育するという記述を見つけて、この種かな?という思いを持ちましたが葉の形態が当てはまりません。改訂新版の日本の野生植物(平凡社)には「日本海側に生育」という記述はありません。東北南部から九州北部に生育とありますから、オクモミジハグマで落ち着きました。山形の蔵王が東北南部に入るかどうかは微妙なところですが、日本海側に限定されないことを確認でき新しい認識になりました。
葉の切れ込みが浅い葉です。モミジハグマはもっと深く切れ込んでいる葉であるということになっています。ネット上にもいくつかの写真がありましたが、かなりばらつきがありそうです。きっと探せばオクモミジハグマとの境がはっきりしなくなるのではと勘ぐってしまいます。モミジハグマという種をあまり気にしなくてもいいのかもしれません。ただ、「オク」があるのですか元になるのがないのも困りますからモミジハグマも市民権を与えておきましょう。
山形市野草園に自生している花も新潟の丘陵公園の花も同じように見えます。葉も同じようですから、同じオクモミジハグマです。この種は自然界にそんなにたくさん生育している種ではないと思いますが、点々と広く生育していることになります。
目立つ朱色の花が草むらにありました。フシグロセンノウです。高山植物というわけでもなく、思いもかけないところで見る花ですからその出会いは衝撃です。かつては里山に近い山野にも多くあったのでしょうが目立つ花ゆえ数を減らしてしまったのではないでしょうか。山野草園にの林の中には点々と開花中の個体が観察されました。
長い総状の花序をつけたくさんの花が付きます。花弁はなくしべだけです。果実の頃に気づくのですが、果実ができない花がありそうだなと常々思っていました。栄養状態でも悪く受粉がうまくできなかったのだろうというような考えで見過ごしてきましたが、この花序は雄花と両性花が混在するのですね。花の時期はおしべが目立って何が何だかわからない状態ですから一つ一つの花を分解してみていませんでした。丘陵公園の里山にも自生しています。今年の果実の出来具合が非常に悪く種子が採集できていません。おそらく、受粉していない両性花も多くあったのでしょうが、雄花の数が多く両性花が少なかった可能性も否定できません。
少し離れたところに単独で生育していた個体です。長い総状花序が見事です。サラシナショウマの花期は8月から始まり10月後半まで続きます。山形市野草園は9月中旬ころがベストのようです。丘陵公園は10月半ば頃にピークを迎えます。
今年はカリガネソウに出会うことが多いのですが、山形市野草園では見事な群生を見せていただきました。自然の中でなかなか見ることができなかったのが、平標山で出会うことができ間をおかず再び野草園で観ることができました。おびただしい数の不思議な形の花を見せつけられてただただ感動でした。