両側が谷の緑の国道を疾走していると、ときおり白い花が林縁沿いに見られる。その多くは、「ウツギ(卯の花)」が見られるが、「ヤブデマリ」の華やかな白い花も散見できる。そんな中、日本原産の「ガクウツギ」(アジサイ科)も見られた。花が「ガクアジサイ」のように装飾花のガクがあり、茎葉がウツギの葉に似ているというわけで、「ガクウツギ」と命名されている。ランダムに咲く姿は統一感がないので、見栄えがアジサイに負けてしまう。
まるで現在の日本のように、自分を主張しないで中途半端な位置から周りの顔色を窺う距離感を保つかのようなネーミングだ。といっても、装飾花のガクは1枚が大きく3枚の大きさも違うという特異な特徴があるにはある。また、本当は4枚のガクがあるはずなのに1枚は退化してしまったらしい。さいわい、有毒なので鹿の食害からは免除されるという生き残り戦略は成功している。
わが家に到着してみたら、裏山でこのガクウツギが目の前に咲いていたではないか。まぎわらしいネーミングについ名前を思い出せなくなることもある(加齢のせい?)が、この清楚な白といい、香りの強烈さといい、よく見るとなかなかだ。