原題:『Alien』
監督:リドリー・スコット
脚本:ダン・オバノン
撮影:デレク・ヴァンリント
出演:トム・スケリット/シガニー・ウィーバー/ヴェロニカ・カートライト/ジョン・ハート
1979年/アメリカ
原題:『Aliens』
監督:ジェームズ・キャメロン
脚本:ジェームズ・キャメロン
撮影:エイドリアン・ビドル
出演:シガニー・ウィーバー/マイケル・ビーン/ランス・ヘンリクセン/キャリー・ヘン
1986年/アメリカ
「シネマスコープ」と「ビスタサイズ」
『エイリアン』を話題にするとどうしてもシガニー・ウィーバーが演じた主人公のエレン・リプリーとエイリアンの対決から暗示させる「フェミニズム」の話になりがちなのであるが、ここでは「一匹のエイリアン」から「複数のエイリアン」に移行する際のジャンルの変化に注目してみたい。
『エイリアン』の冒頭のシーンは惑星やスペースシップを登場させることで、SFホラー映画に相応しいオープニングだと言えるのだが、『エイリアン2』はなかなか宇宙そのものを見せようとしない。娘のレベッカも同乗していたジョーダン一家が乗っている探査車も、撤収したリプリーたちを救うために操縦士のコレット・フェッロが搭乗したドロップシップ機も‘宇宙色’が感じられず、寧ろ‘宇宙色’を排除してBGMにマーチを流すなど徹底して戦争映画を装う。
何故リドリー・スコットがSF映画として始めた作品の続編をジェームズ・キャメロンは戦争映画に作り変えてしまったのかが大きな疑問として残る。その上、後に『タイタニック』(1997年)や『アバター』(2009年)など映像に拘った作品を発表するジェームズ・キャメロンがシネマスコープで撮られた『エイリアン』の続編をわざわざヴィスタサイズで撮っていることも不思議である。
あくまでも想像の域を出ないのであるが、1986年当時のシネマスコープサイズの映像の質にキャメロンは納得出来なかったのではないだろうか。精度の低い画質でSF映画を撮るよりも、敢えて画質の荒いヴィスタサイズで戦争映画を撮り、リアリティを追求することでキャメロンは映画そのものの質の高さを維持することを選択したのだと思うのである。