原題:『100回泣くこと』
監督:廣木隆一
脚本:高橋泉
撮影:鍋島淳裕
出演:大倉忠義/桐谷美玲/ともさかりえ/忍成修吾/波瑠/宮崎美子/大杉漣
2013年/日本
なかなか煮詰まらない脚本について
藤井秀一に誘われて沢村佳美は藤井の趣味であるバイクの修理に付き合う。佳美は迷うことなくプラグを藤井に手渡したり、「キャブレター」という言葉を知っていたりするのであるから、何故佳美がこんなにバイクに詳しいのか藤井が疑問に持ってもいいと思う。その謎が伏線となるはずなのであるが、藤井が佳美に訊ねることはない。
事故に遭遇する前に、藤井が佳美から卵巣がんであることを告白された際に、藤井は佳美から逃げたと友人たちに噂されている。しかし藤井は決して逃げたわけではなく、佳美の入院に付き添うつもりでいたのであるが、その直前に藤井は交通事故に遭ってしまうのである。では何故藤井は逃げたことになってしまっているのか考えてみるならば、藤井の決意を知っていたのは佳美だけなのだから、藤井が逃げたとするならば、それは佳美がそのように友人たちに伝えたことになるのであるが、いくらなんでも愛している男性に汚名をそそぐわけはなく、ここは脚本が間違っていると感じてしまい、結局、100回どころか一度たりとも泣けなかった。