原題:『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』
監督:佐久間宣行
脚本:佐久間宣行/オークラ
撮影:風間誠
出演:川島省吾/おぎやはぎ/バナナマン/みひろ/岩井秀人/京本政樹/葵つかさ/紗倉まな
2013年/日本
アドリブという「ゾンビ」について
本作に登場する「アンデッド」というゾンビを見たとき、例えば、『SUPER8/スーパーエイト』(J・J・エイブラムス監督 2011年)や『キツツキと雨』(沖田修一監督 2012年)などで見られるように、処女作はとりあえずゾンビ映画という定番の踏襲は間違いないのではないのかと思わせる。生きているのか死んでいるのかはっきりしないゾンビという存在は、演出上の「正解」をあやふやにすることで自由を得られるからで、つまりこの作品の主役である劇団ひとりの『キス我慢選手権』というバラエティ企画と、主人公の川島省吾による『THE MOVIE』の境界線を曖昧にすることで、フィクションとノンフィクションの間で「アドリブ」という独自の「ゾンビ」を見せることになる。川島省吾という天才が存在してこそ映画として成立した作品である。