原題:『二流小説家 シリアリスト』
監督:猪崎宣昭
脚本:猪崎宣昭/尾西兼一/伊藤洋子/三島有紀子
撮影:高田陽幸
出演:上川隆也/武田真治/片瀬那奈/平山あや/伊武雅刀/高橋惠子
2013年/日本
「二流」という言い訳
死刑囚の呉井大悟に「告白本」の執筆依頼を受けた小説家の赤羽一兵が殺人事件に巻き込まれる最中に、2度、銃撃されるのであるが、1度目は陸揚げされているボートの下に隠れた赤羽の前にサッカーボールが転がってきて、まるで銃声が聞こえなかったかのように少年たちがランニングに勤しんでいるし、2度目の時には赤羽は底なしの泥沼にはまり込んだはずなのだが、何故か自力で脱出出来てしまう。『脳男』(瀧本智行監督 2013年)や『プラチナデータ』(大友啓史監督 2013年)などと同様の真犯人の‘超能力振り’は相変わらずで、再審が決まっていたにも関わらず、あっという間に死刑が執行されてしまう展開も雑で、結局、美的価値観の違う赤羽に「告白本」の執筆依頼をした呉井の、母親に対する屈折した愛憎の説明にも説得力がなく、4人も脚本に関わっていながら、テレビの2時間ドラマでももう少し丁寧に製作されていると思う次第である。