原題:『The Great Gatsby』
監督:バズ・ラーマン
脚本:バズ・ラーマン/クレイグ・ピアース
撮影:サイモン・ダガン
出演:レオナルド・ディカプリオ/トビー・マグワイア/キャリー・マリガン/ジョエル・エドガートン
2013年/アメリカ・オーストラリア
全てが虚飾と化す瞬間
1924年、主人公のジェイ・ギャツビーについて語るもうひとりの主人公であるニック・キャラウェイが何故アルコール中毒患者の療養所に滞在しているのか推測するならば、結局のところ二年前のあの日、ニックがギャツビーに電話をした際に、ギャツビーがジョージ・ウィルソンに射殺されてしまい、自分がギャツビーの死のお膳立てをしてしまったという悔恨の念に囚われてしまったからだと思われるが、言うまでもなくギャツビーはデイジー・ブキャナンからの電話だという幸福な思い込みを抱いたまま亡くなったことを私たちは既に知っており、このような皮肉が本作全体を覆っている。
大富豪であるギャツビーがニューヨークに建てた宮殿のような豪邸内で、毎夜のように開かれる豪華絢爛なパーティーにおいて、トム・ブキャナンとギャツビーの上流社会における‘仮面のかぶり合い’のゲームは、やがて「シャラップ!」という一言でギャツビーの素性がバレてしまい、全ては虚飾にしかならないものだったという皮肉が、映像そのものがゴージャスであるがために有効に機能する。それにしてもギャツビーが一途に想い続けていたデイジーの自動車事故後の、ギャツビーに対する態度が余りにも素っ気なくて冷酷すぎると思われるのであるが、所詮その程度の、虚飾で身を包んでいた女にうつつを抜かしていたギャツビーに非があるのだとするならば、全く救いの無い話で気の毒としか言いようがない。