「東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」を訪れる度に東郷青児の作品を目にするの
ではあるが、それほど良いと思わないのは作風がマリー・ローランサンに似ていて、油絵という
よりもイラストのように見えてしまうからである。しかし現在、東京都美術館で催されている
『伝説の洋画家たち 二科100年展』で上の「パラソルさせる女」(1916年 一般財団法人
陽山美術館蔵)を見た時、そのキュビスム風の作風に、若い時はそれなりに冴えを見せていたの
だと分かった。しかし東郷青児は芸術家というよりも業界発展のために「政治性」を発揮して
名を残しているように思う。因みに本展覧会で最も良かった作品はアンリ・マティスに師事し、
「ダンス」を上手く解釈した中川紀元の「アラベスク」(1921年 辰野美術館蔵)である。