原題:『波の数だけ抱きしめて』
監督:馬場康夫
脚本:一色伸幸
撮影:長谷川元吉
出演:中山美穂/織田裕二/松下由樹/阪田マサノブ/勝村政信/別所哲也
1991年/日本
湘南に漂う「アメリカン・ニューシネマ」の匂いについて
1982年、神奈川県の湘南のミニFM局「Kiwi-FM」を趣味で運営していたDJの田中真理子を初め、小杉正明、高橋裕子、芹沢良明のグループに、偶然出会った大手広告代理店「博放堂」に勤めている吉岡卓也が加わり、企画が整わないままに吉岡が会社から1000万円使い込んで細かく中継局を作り、7月4日に「Kiwi-FM」を湘南中に聞こえるようにして開局して自分たちの「楽園」を作ろうと目論んだものの、小杉の「若気の至り」により彼らは「独立」に失敗し、10年後に小杉たちは真理子の結婚式に出席するはめに陥るというストーリーの流れは「アメリカン・ニューシネマ」の匂いを感じる。
当時はおかしくなかったのであろうが、今となっては中山美穂も松下由樹も日焼けのし過ぎである。しかしまさか20年経ってパソコン一台で湘南のみならず世界中に愛を叫べるようになるとは当時の織田裕二は想像すらしていなかったであろう。