MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『その男、国家機密により』

2015-09-05 19:38:58 | goo映画レビュー

原題:『One Hundred Years of Evil』
監督:エリック・エガー/マグヌス・オリーヴ
脚本:エリック・エガー/マグヌス・オリーヴ/ヨアキム・スタランデール/オリヴァー・ブラックバーン
撮影:フリアン・エリサルデ
出演:ヨーン・レクダル/ジョルディ・アルメイダ/ジャック・フランケル/アンドレア・スーチ
2010年/スウェーデン・アメリカ

最後まで「真実」であるために

 本作は第二次世界大戦末期に、ヒトラーが自殺した場面に遭遇した親衛隊員の一人のインタビューが収められたドキュメンタリー映画『ヒトラーの最後(Hitler's Last Hours)』を元に、人物の表情筋を計ることでウソを見抜くソフトを開発したスウェーデンのヨーテボリ大学のスクーレ・アントンセン教授が親衛隊員が嘘をついていることを突き止め、若い頃に大学の映画学科で一緒に勉強していたイデルフォンゾ・エリサルデに連絡をして、録音技師のハビエル・バルガスや歴史家のグレタ・ヘーベルレの助けを借りて、戦後アメリカに渡り暗躍するようになるアドルフ・ムンチェンハウザーを探して彼がヒトラーであることを証明するドキュメンタリー映画を制作しようとするものである。
 しかし例えば、アントンセン教授は親衛隊員が「総統はベルリンから逃れて身を隠そうと試みたのか?」という質問に対して「いいえ」と答えたところでソフトを使いウソを言っていると指摘しており、ヒトラーが自殺したのかどうかと問う場面ではないため、親衛隊員がヒトラーの自殺に関して嘘を言っているかどうかは分からないのである。
 もちろん映像を観ているうちに、録音技師がいないところで話し声がクリアーに聞こえたりして、本作が冒頭のシーンを除いてほとんどが作られたモキュメンタリーであることが分かるのであるが、せめて前半の方くらいはバレないように緻密に作って欲しいと思うのである。


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