原題:『San Andreas』
監督:ブラッド・ペイトン
脚本:カールトン・キューズ
撮影:スティーヴ・イェドリン
出演:ドウェイン・ジョンソン/カーラ・グギーノ/アレクサンドラ・ダダリオ
2015年/アメリカ・オーストラリア
悪者を「重宝」しなければならないパニック映画について
このような作品には必ずといっていいほど、例えば、主人公のレイモンド・ゲインズと前妻のエマの娘であるブレイクを車の中に残して一人で逃げてしまったダニエル・リディックのような「悪者」が登場するのであるが、なんとなく批判できない理由は、実際に自分がダニエルのような立場に置かれた場合を考えてしまうからである。それは本作にも暗に反映されているようで、最後にブレイクとベン・テイラーと彼の弟のオルリーが避難場所として辿りついた場所が宅地開発業者のダニエルが関わったビルだからであり、結果的にダニエルの存在のおかげで彼らは助かり、物語が成立するのである。
ボートの川下りに誘った娘を溺死させた過去を持ち、それがエマとの離婚の要因にもなったレイモンドが何としてでもブレイクを救おうとするという伏線もしっかりと描かれてはいるが、それでも『ピクセル』(クリス・コロンバス監督 2015年)同様に3Dで観なければストーリーの平凡さを補う映像の迫力が掴めないと思う。