MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『動乱』

2016-09-01 00:49:23 | goo映画レビュー

原題:『動乱』
監督:森谷司郎
脚本:山田信夫
撮影:仲沢半次郎
出演:高倉健/吉永小百合/米倉斉加年/桜田淳子/志村喬/田村高廣/佐藤慶
1980年/日本

 高倉健の「生かし方」について

 姉の薫が身売りされることを知った溝口英雄が深夜に部隊から脱走し、それを追いかけてきた捜索隊の一人である原田軍曹ともみ合っている内に銃殺してしまったり、神崎中佐が単独で陸軍省の軍務局長室にいた水沼鉄太郎少将たちを暗殺するのに、広津美次中将の「万一、憲兵隊の取り調べ中に事故が起きて宮城大尉が死んだということになれば後は私が責任を持つ」という断言の下、東京憲兵隊本部で取り調べを受けている最中に毒を入れたお茶を飲まされたにも関わらず、高倉健が演じる主人公の宮城啓介は奇跡的に命が助かったり、クーデター直後、歩兵第一聯隊から出てきた宮城啓介が乗るジープの前に島憲兵曹長が立ちふさがり、降りてきた宮城と対峙した際に、何故か島憲兵曹長は拳銃を出し損ねて宮城に切り殺されてしまうところなど、妙に演出が宮城には「甘い」のである。
 つまり『健さん』(日比遊一監督 2016年)で指摘したように高倉健の「取り巻き」たちは高倉に日本の「敗者」で不器用にしか生きられないキャラクターを演じて欲しかったのだと思う。そしておそらく高倉も「しがらみ」によってその期待に応えたいと思っていたのであろう。


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