原題:『シン・ゴジラ』 英題:『GODZILLA Resurgence』
監督:樋口真嗣
脚本:庵野秀明
撮影:山田康介
出演:長谷川博己/竹野内豊/石原さとみ/高良健吾/大杉漣/柄本明/余貴美子/市川実日子
2016年/日本
「新世紀エヴァンゲリオン」で解釈されるゴジラについて
「ゴジラ」の「新世紀エヴァンゲリオン」的解釈である本作は細かなカットと早口なセリフ回しがモダンで上手い演出だと思う。放射能によって生み出してしまったゴジラの出現に対して、日本政府が対処する過程が具体的に描かれており、最後の手段としてチャールズ・ロス大統領政権下のアメリカを中心とした多国籍軍がゴジラに核攻撃を加える、つまりアメリカが日本に三度目の核爆弾を落とそうとするという皮肉には、もしかしたら事前にフランス政府に核攻撃の回避を根回ししていたという、日本の外交戦略として絶対にありえないシチュエーションも含まれているのかもしれない。しかしやはり主役はゴジラで、最後に動きを止めたまま立ちつくすゴジラを見て人型兵器エヴァンゲリオンが停止した時を思い出すならば、「使徒」とは一体何者になるのか?
余貴美子が演じる花森麗子防衛大臣はおそらくかつて防衛大臣を務めていた小池百合子を想定して皮肉ったつもりだったのだろうが、その後新防衛大臣として稲田朋美が就任したことで現実の厳しさを痛感したりもするが、例えば本作で官房長官の記者会見の際に、官房長官の隣にいつもいるはずの手話通訳士をテレビ画面に一緒に映しているシーンを見て、個人的に何故手話通訳士がテレビ画面に映らないのかいつも不思議に思っていたこともあって、フィクションが現実を超えてもいるのではある。