2017年5月21日の毎日新聞の「松尾貴史のちょっと違和感」というコラムには「安倍首相の国会答弁 あまりに下品で不誠実で幼稚」というタイトルが付いていた。
「民進党の福島伸亨衆院議員が、まさに安倍昭恵氏と森友学園のズブズブの関係について質したのに対し、安倍晋三総理大臣が『ズブズブの関係とか、そういう品の悪い言葉を使うのはやめたほうがいい。それが民進党の支持率に出ている』とまたぞろ、まるで答えにならない答弁をした。自身が夫婦ぐるみで不適切な関係であったことを何とか隠し通したいという焦りから出た抗弁なのだろうけれども、これはあまりにも下品ではないか。
第一、中身に正面から答えず、言葉尻を捕まえてなじることで時間を消費して答弁したふりをしているだけで、あまりにも不誠実だ。『ズブズブ』が『品の悪い言葉』だということは初めて聞いたが、公の場で相手を『品が悪い』と表明することのほうが、よほど下品だと思う。その語句に、異常な後ろめたさや恐怖を感じるからこその過剰反応であることは想像に難くない。
さて、その安倍総理は昨年の北海道5区の補欠選挙について、『民進党と共産党がこんなズブズブの関係になった選挙は初めて』と語っていたが、自分は使っている言葉も、野党の議員が使うのは品が悪いという、いつも通りの矛盾したその場凌ぎだ。」
安倍首相が「品の悪い言葉」を使うことはもはや日常茶飯事で、例えとして、2015年8月22日の毎日新聞の記事から引用してみたい。
「参院平和安全法制特別委員会の安全保障関連法案審議で21日、安倍晋三首相が、中谷元防衛相を追求する民主党の蓮舫氏に対し、『まあいいじゃん。そういうことは』とやじを飛ばし、直後に撤回する一幕があった。
中谷氏は、他国軍を後方支援できる事例をまとめた『野呂田6類型』を誤って『大森6事例』と答弁。蓮舫氏が『大森と野呂田が一緒になっている』と議事の停止を要求した際、首相が自席からやじを飛ばした。
憤った蓮舫氏から答弁を求められた首相は『本質とは関わりがないことだから申し上げた』と強調したが、鴻池祥肇委員長から『自席での発言は控えていただきたい』と注意され、『撤回します』と応じた。
(・・・)首相は5月28日の法案審議でも民主党議員に『早く質問しろよ』とやじを飛ばし、同党が抗議。謝罪に追い込まれた。」
一国のトップが「まあいいじゃん」という「若者言葉」を公の場で使ったことに衝撃を受けてもう2年も経とうとしているのだが、安倍首相の発言の幼稚さに変化がない、というより注意する人もいなくなりむしろさらに幼稚さに拍車がかかっている。しかし慣れというものは恐ろしいもので、もはや違和感がない。