原題:『Ralph Breaks the Internet』
監督:リッチ・ムーア/フィル・ジョンストン
脚本:フィル・ジョンストン/パメラ・リボン
撮影:ネイサン・デトロイト・ワーナー/ブライアン・リーチ
出演:ジョン・C・ライリー/サラ・シルバーマン/ジャック・マクブレイヤー/ガル・ガドット
2018年/アメリカ
「甘さ」から「殺戮」に挑む物語について
前作『シュガー・ラッシュ』(リッチ・ムーア監督 2012年)は間違いなく傑作だったはずで、今回もかなり期待して観に行ったがこれまたなかなかの出来だったと思う。
主人公のヴァネロペが「シュガー・ラッシュ」の世界から「スローター・レース」の世界へ憧れを抱く理由は、その「甘さ(sugar)」から抜け出して「スローター(殺戮)」という厳しさを敢えて選ぶヴァネロペの「成長物語」として読めるし、大人になるヴァネロペを嫉妬するラルフから生まれる「アルターエゴ(Alter Ego)」とラルフ本人が対決する場面もさることながら、その「アルターエゴ」の造形も素晴らしいと思う。
ここではヴァネロペの内面が歌われる主題歌の「A Place Called Slaughter Race」を和訳しておきたい。
「A Place Called Slaughter Race」 Sarah Silverman & Gal Gadot 日本語訳
今日、この場所に私を呼ぶものが誰だというの?
この何でもアリのオートレースの駆け引き
誰だというの?
私は生まれたばかりの鳩で
空を駆け巡るための羽根が生え始めている(soar)
あれは何を暗示していたの?(metaphor)
ここには100円ショップがある(store)
わかった? 私が韻を踏んでいることを
私の精神は高揚しているし
棍棒が振り下ろされるような空気の中
私は「スローター・レース」と呼ばれる場所に呼ばれる
お帰りなさい
あなたの頭を見てごらん
仰向けで死んでいるあなたなんて見たくないの
真っ最中のこのパーティーに参加しなさいよ
あの装具は盗まれたの?
ワイヤーは散らばっているし
大型のゴミ収集容器は燃えているし
ピエロたちが這いずり回っているし
タイヤが燃えている
血管には白い血が流れている
彼女と知り合いになればあなたは幸せになるだろう
鑑札付ならば犬や猫も美味であることは間違いない
落第点がつけられると私たちはみじめだ
あなたは魅力的だと私は思う
私たちは混成チームだろうけれど
私たちの心の結びつきは確かだし
顔のタトゥーはあなたのためだけにある
スローター・レース
私の心はまるで突風のように飛んでいる
私の夢がついに現実になったような気分だ
あなたの顔の眉間にしわの後はない
とんでもない速さで飛んで
ペースを落とすことなく
人生を歩んで
追跡を愛する
そんな時が来たんだ
ここがその場所なんだ
スローター・レースの場所なんだ
行かなければならないことはわかっているけれど
故郷に後ろ髪を引かれる気がする
どの道も夢で舗装されている
それは幸せな夢であって這いずり回っているピエロの夢ではない
ラルフは何て言うだろう
もしも私がここに留まることになるならば
「スローター・レース」と呼ばれるこの場所に
「スローター・レース」と呼ばれるこの場所に
A Place Called Slaughter Race (From "Ralph Breaks the Internet")
ところでエンドクレジットの最後で、最後まで観てくれている観客のためにラルフが歌っている曲はリック・アストリーの「ネヴァー・ゴナ・ギブ・ユー・アップ」で、ラルフはそのMVのパロディーをしているのであるが、若い観客は理解できているのだろうか?
Rick Astley - Never Gonna Give You Up (Video)