原題:『Creed II』
監督:スティーヴン・ケープル・Jr.
脚本:シルヴェスター・スタローン/チェオ・ホダリ・コーカー
撮影:クレイマー・モーゲンソー
出演:マイケル・B・ジョーダン/シルヴェスター・スタローン/テッサ・トンプソン/ウッド・ハリス
2018年/アメリカ
「体の中核のブレ」を解消させる対照性について
前作『クリード チャンプを継ぐ男』(ライアン・クーグラー監督 2015年)はボクシングの試合を見せる作品だったように思うが、本作はボクシングよりもヒューマンドラマに重点が置かれているように思う。
主人公のアドニス・クリードには恋人のビアンカ・テイラーがおり、ビアンカは耳が不自由な女性で、結婚してすぐに娘のアマーラが生まれるのであるが、アマーラも耳が不自由なのである。アドニスは一度はロッキー・バルボアと袂を分かち父の仇であるイワン・ドラゴの息子のヴィクターと世界ヘヴィー級タイトルマッチはヴィクターの反則負けで辛うじてアドニスは防衛する。
アドニスが抱えるこの「体の中核のブレ」がストーリーに影をおとすのであるが、興味深いのは前半でロッキーが2002年に亡くなった妻のエイドリアンの墓を見舞い、アドニスが家庭を持つことと対照的に、ラストにおいてロッキーは疎遠だった息子のロバートと孫のローガンに会いに行き、アドニスは父親のアポロの墓を見舞うところで、この対照性によってアドニスが抱える「体の中核のブレ」が解消されるように感じるのである。
『クリード』シリーズは『ロッキー』シリーズのスピンオフという以上の作品のクオリティーを感じさせる。