原題:『来る』
監督:中島哲也
脚本:中島哲也/岩井秀人/門間宣裕
撮影:岡村良憲
出演:岡田准一/黒木華/小松菜奈/青木崇高/柴田理恵/太賀/松たか子/妻夫木聡
2018年/日本
理解しにくいホラー映画の難解さの原因について
主人公の田原秀樹が香奈と結婚して子供ができたのは2016年の1月頃であろう。秀樹は友人たちを呼んで盛大なパーティーをし、さらに「イクメン」のブログを開設して幸せな様子をアピールしているのであるが、実際は世間体を良く見せるだけで育児に関して何もしようとはせず香奈は育児に悩んでいた。
そんな時、秀樹の部下の高梨が謎の死を遂げるのだが、娘の知紗は無事に生まれた。しかし二年後、田原家の住むマンションに異変が起こったことから秀樹は親友で民俗学者の津田大吾を介してオカルトライターの野崎和浩と霊能者の比嘉真琴を紹介してもらう。真琴は早々に秀樹と津田のうさん臭さを見破るのであるが、だからと言ってこの「事象」を防ぐことはできず、やがて全国から霊媒師を募って2018年12月24日に凄惨な戦いが繰り広げられる。
本作が理解しにくいのは超常現象の原因となっているはずの知紗が飽くまでも普通の娘として描かれていることで、ラストで知紗が「オムライスの国」の夢を見ている理由は、本当の幸せとは、例えば、ブログなどで幸せをアピールするような外面の良さのことではなく、内面から湧き出てくるものだからであろう。個人的には本作は『ローズマリーの赤ちゃん』(ロマン・ポランスキー監督 1968年)の翻案だと思う。