現在、渋谷のBunkamraザ・ミュージアムで催されている「ロマンティック・ロシア」
において国立トレチャコフ美術館所蔵の近代ロシア絵画を鑑賞することができる。主に19世紀
後半から20世紀初頭の作品を観ることができるのであるが、興味深いことに1890年を
堺にしてそれまでの「古典派」とその後の「印象派」というタイプにはっきりと筆致が変化
しており、それはもちろん当時でもロシアの画家たちがフランスなどに留学していたから
なのである。しかし例えば、アレクサンドル・ベーグロフ(Alexander Beggrov )の
「アレクサンドリア号上での皇帝ニコライ2世とフランス大統領エミール・ルーベ、1902年5月7日の会談
(Meeting of the Emperor Nikolay Ⅱ on the Yatch "Alexandria" with President of France
Emile Lube on the 7th May 1902)」の「古典派」の画風の作品の制作年が1902年だという指摘
に対しては、ベーグロフが古典派の画家であるという事実を示すだけで十分であろう。