原題:『マスカレード・ナイト』
監督:鈴木雅之
脚本:岡田道尚
撮影:江原祥二
出演:木村拓哉/長澤まさみ/小日向文世/沢村一樹/木村佳乃/麻生久美子/渡部篤郎
2021年/日本
「生真面目」なホテルマンについて
前作『マスカレード・ホテル』(2019年)で見られたような鈴木雅之監督独特のモンタージュは影を潜めてしまっており、正直がっかりしてしまった。画面の構図作りが緩くなってしまった原因はストーリーの方を重視したためかもしれないが、ただ一人だけ妙に気になる人物がいて、それはホテルのフロントにいつもいる氏原祐作である。氏原はコンシェルジュの山岸尚美と同時にロサンゼルス支店に派遣される人材として候補になっているのだが、山岸は素性を隠して宿泊している日下部篤哉にたびたび試されているにも関わらず、日下部は氏原を完全に無視しており、氏原はホテルの「中心」にいるにも関わらず、全く活躍の場がないのである。
この「空虚」という氏原の本作における役割を勘案するならば、宿泊客は全員「仮面」を被っており、それは人には誰にも二面性があるという暗示であり、例えば刑事の新田浩介がホテルマンの仕事に介入したり、逆にホテルマンの山岸尚美が刑事の仕事に介入したりするという意味でもあるのだが、そのような「二面性」を持たない氏原には何も起こらないということではないのだろうか?
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