今更になって近田春夫の口述による自伝『調子悪くてあたりまえ』を読んでみた。気になっていた箇所を取りあげてみたい。
2018年6月に近田は、テレビ朝日で放送されていた「ラストアイドル」というオーディション番組で誕生したユニット「Good Tears」に楽曲を提供しているのだが、近田の発言を引用してみる。
「ここで俺は、Good Tears という4人組をプロデュースしたんだ。アピアランスはお色気を打ち出そうと思い、へそを露出するベリーダンス風の衣装にした。曲名は、へそにちなんで『へえ、そーお?』。サウンドはドナ・サマーの『I Feel Love』のベースラインにアラベスクやジンギスカン辺りの下世話なメロディーを乗せてみた。つまり、80年前後のミュンヘンディスコだね。
この曲、当時の安倍政権に巻き起こっていた不祥事を揶揄するような歌詞だったから、ネットで軽く炎上して、ニュースにもなったのよ。あんなにケチョンケチョンに批判されることも珍しいから、なかなか面白い経験だったね。結果として、あのぐらいで心が傷つけられるわきゃないってことを学んだよ。」(p.301)
最初にこの曲を聴いた時には酷い曲だと思ったのだが、こうして説明されて改めて聴いてみてもやはり酷い曲だと思う。どうも近田の方法論は奇をてらい過ぎて、どれもコミカルな感じに堕ちてしまっており、例えば、ジューシー・フルーツの「ジェニーはご機嫌ななめ」や漫才コンビのザ・ぼんちの「恋のぼんちシート」など本人たちと曲のキャラクターが合えば上手くいくのだが、「へえ、そーお?」は完全にスベっていると思う。
Good Tears「へえ、そーお?」MV(Short ver.)
Donna Summer - I Feel Love (Live)
気質というものはなかなか変わるものではないようで、最近のソロ曲である「超冗談だから」はゲスの極み乙女のパロディー曲である。
近田春夫「超冗談だから」MV
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