原題:『白ゆき姫殺人事件』
監督:中村義洋
脚本:林民夫
撮影:小林元
出演:井上真央/綾野剛/蓮佛美沙子/菜々緒/金子ノブアキ/貫地谷しほり/谷村美月
2014年/日本
「デジタルの光」の「情報」と「アナログの光」の「合図」
同じものを見ながら違う解釈になってしまうという物語の辻褄を合わせることは意外と難しいのだろうか? 原作に問題があるのか、あるいは脚本に問題があるのか寡聞にして知らないが、例えば、芹沢ブラザーズの雅也の恋人になったとして本人から一番前の席のチケットを入手した三木典子を睡眠薬で眠らせて代わりにライブに行こうとする主人公の城野美姫は、恋人が座るはずの席に座り、雅也の目の前で落ち着いて楽曲に耳を傾けていられるだろうか? 茅野市から東京に向かう列車に乗り込む際に、自分の車にカギをかけないという行動も理解しにくいのであるが、実際は雅也を階段から突き落としてしまう美姫はもはや正常な心理状態ではないのかもしれない。
そのような違和感は若干あるとしても、例えば、Twitterにより絶えず更新される「デジタルの光」の「情報」よりも、ろうそくを手動で点滅させる美姫と親友の谷村夕子の「アナログの光」の「合図」の方がお互いを理解しあえる、あるいは最も美姫を追い続けていた赤星雄治が美姫本人を目の前にしても本人だと気が付かず、美姫のことを何も知らなかったという皮肉は上手く表現されていると思う。
それにしても情報番組『カベミミッ!』の生瀬勝久が演じた司会者の水谷は『情報ライブ ミヤネ屋』の司会者の宮根誠司のパロディなのだが、本人のいやらしい感じを的確に醸し出す演技は秀逸だった。