原題:『Lone Survivor』
監督:ピーター・バーグ
脚本:ピーター・バーグ
撮影:トビアス・A・シュリッスラー
出演:マーク・ウォールバーグ/テイラー・キッチュ/ベン・フォスター/エミール・ハーシュ
2013年/アメリカ
教訓と化す生き残れた理由について
2005年6月27日にタリバンの幹部の暗殺を目的とする「レッド・ウィング作戦」のために敵地アフガニスタンの山岳地帯に偵察傭員として派遣された4人のネイビー・シールズの隊員が遭遇した悲劇が描かれている。本作は唯一生き残ったマーカス・ラトレル二等兵曹は2日後の29日に救出され、3日間の物語となっているが、実際は、翌月の中頃までかかったようである。
しかし観賞した後味としては決していいものではない。それは特殊部隊の4人がタリバンのグループに追い詰められた際の死闘のシーンがリアルであるとかいう以前に、武器を持たない3人の村人を殺さずに解放しようと主張したマーカスは生き残ったが、多少なりともそれに反対していた残りの3人が殺され、あるいは敵に追われている者は誰でも助けるようにと教えさとす「パシュトゥーン掟」を守ってマーカスを助けたモハマド・グラーブは息子と共にタリバン兵たちとの銃撃戦の中で生き残れたが、多くの仲間たちは銃殺され、まるで「教え」を忠実に守れた者だけが、神から選ばれたように救われるという事実が存在するからで、2人が生き残れた原因は偶然でただ運が良かっただけという言説が許されないような雰囲気だからである。エンディングに流れる「ヒーローズ("Heroes"))」が威勢の良いデヴィッド・ボウイのヴァージョンではなくて、内省的なピーター・ガブリエルのヴァージョンが使われたことがせめてもの救いであろう。