MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『大人ドロップ』

2014-04-06 23:33:31 | goo映画レビュー

原題:『大人ドロップ』
監督:飯塚健
脚本:飯塚健
撮影:相馬大輔
出演:池松壮亮/橋本愛/小林涼子/前野朋哉/渡辺大知/美波/香椎由宇
2013年/日本

「大人ドロップ」の味について

 2013年7月から8月にかけて、主人公の高校3年生の浅井由は人間関係に悩んでいた。だから昼食になると一人教室から出ていき、おそらく「パシリ」としてパンを買いに行かされているハジメを別の教室で待って2人だけで一緒に弁当を食べている。
 そんな、明らかに自分よりもイケていないハジメがクラスメートの入江杏を好きになったと言い、デートをセッティングしたのであるが、イヤホンによる「作戦」は杏にとってはふざけているようにしか見えず、仲直りする機会が無いまま杏は和歌山県の方へ引っ越してしまう。
 幻影の中で浅井由が杏とハルとハジメに「大人になれ」と言われる理由は、杏に対する想いが自分の本心からのものなのか、あるいはハジメに対する対抗心からなのか分かっていなかったからであろうが、その対抗心は父親が母親と離婚し、愛人と結婚したものの、父親が癌を患っているという杏の境遇による同情心へと変わり、浅井由はますます自分の本心が掴めなくなる。
 その解決方法は「別れる」というものだった。身の丈に合ったものを選ぶというよりも、抱えきれないものを抱えてはいけないということが大人になる嗜みであるのならば、「大人ドロップ」は子供には美味しいものとは言えないであろうが、もちろん私たちはいつまでも子供でいられるわけではないのだから、それはそれでいいのだけれど、ラストで大人になった浅井由と杏が再会した際に、杏から「ハルと結婚したの?」と訊かれた浅井が「まさか」というあいまいな答えをした理由は、自分はまだ杏と一緒に食べた「子供」の肝油ドロップの味を忘れてはいないという暗黙のメッセージを伝えたかったように聞こえるのである。


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「さすらいの青春」日本語訳

2014-04-06 22:38:58 | 洋楽歌詞和訳

Neil Diamond - I Am... I Said (Music Video)

 2014年4月6日にNHK-BSプレミアムで放送された「笑う洋楽展」でニール・ダイアモンド

の「さすらいの青春(I am... I said)」が取り上げられていた。MCのみうらじゅんと安齋肇に

コテンパンに言われていて、それはそれで面白かったが、詞の内容が気になり、以下和訳。

「さすらいの青春(I am... I said)」Neil Diamond 日本語訳

ロサンゼルスは素晴らしい
いつだって太陽が輝いていて
くつろいでいられるから
ヤシの木々は育つし家賃は安い
でも分かっていると思うけれど
僕は人生をもう一度やり直せないかと考え続けているんだ

僕はニューヨーク市で生まれ育ったけれど
近頃では西海岸と東海岸の間をさまよっている
ロサンゼルスは素晴らしいけれど
故郷とは言えないし
ニューヨークは故郷だけれども
もはや僕の故郷ではないんだ

「僕は...」と言うけれど
そこには誰もいないし
そこにある椅子も含めて誰も聞いてはくれない
「僕は...」と叫んだ
「僕は...」と言うけれど
僕は忘れられてしまった
僕は自分が孤独になった理由の説明の機会さえ与えられないんだ

王になることを夢にみて
実際に王になったカエルの話を読んだことがあるだろう?
名前や多少の変更を加えて
君が僕について話すならば
同じような話になるんだ

でも僕は心の奥が空っぽになってしまった
僕は努力をしてみたけれども
この空虚感が僕を解放してくれることはない
神に誓うということが好きな訳ではないけれど
孤独でいるという感じが不安になったことなんて一度もなかったんだ

「僕は...」と言うけれど
そこには誰もいないし
そこにある椅子も含めて誰も聞いてはくれない
「僕は...」と叫んだ
「僕は...」と言うけれど
僕は忘れられてしまった
僕は自分が孤独になった理由の説明の機会さえ与えられないんだ

 「僕は...」という部分が「I am... 」というタイトルになっており、正確に和訳すると

「僕は~です」となり、敢えて言い訳を省略法で表現することで、逆に聴き手に様々に

主人公が孤独に陥った原因を想像させるテクニックが素晴らしいと思うのである。


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