広島市西区草津東の幸神社（後編）

私は小さな幸神社境内に向かった。旅人として安全を祈る願ってもない機会だったからである。石鳥居扁額の幸神社という文字の枯れ方が実にいい。私は祠に一礼して手を合わせた。

幸神社を出た私は来た道を戻り踏切前から南下した。広島市西区の旅は終盤に差しかかろうとしていた。

広島市西区草津東の幸神社（前編）

立札「歴史の散歩道」によれば大銀杏そばの祠は幸（こう）神社という名称だった。庚申（こうしん）から転じたということで猿田彦が祭神である。

猿田彦は道祖神として知られているが、私はその天狗のような奇妙な姿を思い浮かべた。

広島市西区草津東の大銀杏

広島市西区草津地区の住宅街にぽつんと立つ巨木。駐車場の車と比較して木の高さは１０ｍ近くあると思われた。私はブロック塀の前に立ち「歴史の散歩道」というタイトルのついた立札に目をやった。巨木は推定樹齢４００年以上とも言われる銀杏（いちょう）であった。