谷商店は鞭崎八幡宮表鳥居の真向かいにある。表門を抜けた時から店の青い装飾テントは目立っていた。


自販機横の貼り紙を見た私は「ここに大坂新町遊廓の遊女だった梅川が流れ着いたのか」と呟いた。近松門左衛門作「冥途の飛脚」は飛脚問屋亀屋忠兵衛と梅川の悲しい恋の物語である。
馴染みの遊女を身請けするため預かった公金に手をつけてしまった忠兵衛、梅川と一緒に逃げるが捕まって大坂千日前の仕置場で処刑された。年季の明けた梅川は江州矢橋の十王堂で余生を過ごしたという。梅川終焉地がまさに貼り紙のしてある場所で梅の古木が残っているらしい。中庭を見ると小さな祠があった。
梅川の墓への行き方を確認している最中、どこかで聞いたような声がした。振り返ると裏参道で会った初老の男性が立っていた。彼は息を切らして「間に合って良かったです」と言った。



自販機横の貼り紙を見た私は「ここに大坂新町遊廓の遊女だった梅川が流れ着いたのか」と呟いた。近松門左衛門作「冥途の飛脚」は飛脚問屋亀屋忠兵衛と梅川の悲しい恋の物語である。
馴染みの遊女を身請けするため預かった公金に手をつけてしまった忠兵衛、梅川と一緒に逃げるが捕まって大坂千日前の仕置場で処刑された。年季の明けた梅川は江州矢橋の十王堂で余生を過ごしたという。梅川終焉地がまさに貼り紙のしてある場所で梅の古木が残っているらしい。中庭を見ると小さな祠があった。
梅川の墓への行き方を確認している最中、どこかで聞いたような声がした。振り返ると裏参道で会った初老の男性が立っていた。彼は息を切らして「間に合って良かったです」と言った。

