私は長野県下高井郡山ノ内町の湯田中温泉の旅館で根曲がり竹とサバの水煮を具に使った味噌汁を初めて目にした。意外な組み合わせに驚いたが、女将の説明を聞いて納得した。新鮮な海の魚介が流通しにくい山間の町ではサバ缶が重宝され、このような郷土料理が生まれた、と。素朴な味噌汁を吸いながら贅沢な気分になったのである。
孟宗の筍とサバの水煮との相性も実はいい。豚肉のかわりにサバを汁ごと加えてアクを抜いた筍を10分程度煮て醤油と砂糖で味を調える。サバの旨味と脂肪分を吸った筍は最高の飯のおかずになる。広島では今の時期、黒メバルと筍の煮付けを作る家庭が多いが、保存の効く缶詰を使ってみても面白いと思う(非常に安上がりだ)。
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