澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

介助犬付き地方公務員?

2008年12月17日 00時45分51秒 | 社会

兵庫県の職員採用試験(障害者枠)で介助犬の付き添いを拒否された受験者が、マスコミに訴え、次のようなニュースとなった。

 

【12/12 毎日新聞】

兵庫県:介助犬を拒否 採用試験で「犬嫌いに配慮」

 兵庫県が先月、身体障害者向けに職員採用試験を実施した際、女性受験者の「介助犬同伴で受験したい」との申し出を拒否していたことが分かった。女性はやむを得ず犬を家族に預けたが、「介助犬と使用者は一体。不安でしかたがなかった」と訴えている。公共施設への介助犬同伴受け入れは「身体障害者補助犬法」(02年施行)で義務づけられており、同法を所管する厚生労働省も「法的に不適切な措置で、残念な行為」と指摘している。

 介助犬は身体障害者の代わりに物を拾うなどの介助動作をし、用がなければ静かに待つよう訓練されている。受験したのは、車いすで介助犬と暮らす同県宝塚市の女性(26)。採用試験は11月19日、神戸市中央区の県施設「県立のじぎく会館」などで実施された。

 この女性が受験書類に「介助犬同伴」と記して応募したところ、採用担当の職員課から「犬を連れてくるなら試験中は別室で預かる」との連絡があり、介助犬の役割を説明しても受け入れられなかったという。試験は学科や面接など午前、午後に分かれて実施された。女性は「離れるのはとても不安だった。自宅に置いて受験するしかなかった」と話す。結果は不合格だった。

 同課は毎日新聞の取材に「犬嫌いやアレルギーの人がいる可能性もある」などと釈明。しかし同じ県の障害者支援課は過失を認めたうえで、「犬アレルギーの人がいれば、使用者に介助犬同伴で別室で受験してもらうなどの措置を取れたはずだ」と指摘した。

 一連の対応に「日本介助犬使用者の会」(宝塚市)の木村佳友会長(48)は「県は法律の普及をリードする立場でもあり、考えられない対応」と批判している

非正規労働者の解雇が相次ぐ世相の中で、こういうニュースを聞かなければならないのは、非常に残念だ。
公務員試験に障害者枠があることは法に定められており当然のことなのだが、次のような疑問が生じる。車いすで介助犬を必要とするような人が、本当に公務員として仕事ができるのだろうかということだ。
もし、採用された場合、車いすの職員を配置するだけでも、当該職場をバリアフリーに整備しなくてはならない。未整備の職場では、改修工事に何百万円もの費用がかかるはずだ。その上に、介助犬への対応が必要だとなれば、いったい、どれほどの経費、維持費がかかるのか分からない。

最近の「公務員バッシング」はすさまじく、ちょっとしたことでも「私たちの税金を使って!!」と叩かれている。それ故か、人事当局は、まるで腫れ物にさわるかのように障害者に対応しているように見える。

ある採用試験で本当にあった、こういう話がある。人事当局は、障害者枠(高卒程度)で脳性麻痺(一級)の職員を採用した。その主な理由は、当該職員が大学院修士課程を出ていたからだ。
「高学歴」だから仕事もできると単純に判断したのだろう。
ところが、その職員は手が不自由で、まともに書類作成などできない。そこで結局、最初の職場は追われ、各種職場ををたらい回しとなった。最後の行き先は、養護学校。同じような身障者が多いので、理解がある職場と見なされたわけだ。だが、一般職員の10分の一も事務能力がない障害者職員を受け入れた職場(養護学校)は、その職員のあかげで様々な問題や軋轢が生じ、惨憺たる状況となった。給食の皿も自分で持てない職員を配置しながら、人事当局は、その職員が原因であることを決して認めず、責任のすべてをその職場の上司に「管理監督者責任」として押しつけたのだ。

兵庫県のニュースを聞くと、障害者の「権利主張」を恐れるあまり、県当局が譲歩するのではないかと心配になる。そうなれば、介助犬付き公務員が誕生し、膨大な税金が投入されることになる。加えて、その職員が配属された職場は、上述のようなケースになる可能性が高いので、上司である管理監督者が「障害者職員の不始末による犠牲者」となるわけだ。

障害者の権利主張もほどほどにと思うのは私だけだろうか。