中国の立憲政治100年、世界人権宣言公布60年等に当たる今年、中国ではその2008年を採り入れた「零八(08)憲章」が、ネット上で公開されて、大きな反響を呼んでいるそうだ。
「零八憲章」の「前言」では、近代中国から現在までの立憲政治に言及し、改革開放下の現況でいかに民主化が必要かを主張している。
この憲章には、中国各地の知識人303名が署名している。
「われらの基本理念」と題する第2章には、次の点が強調されている。
1 人権 2 平等 3 共和 4 民主 5 憲政
「中国では皇帝の時代が過ぎ去り、世界でも権威主義体制は黄昏を迎えている。公民は国家の主人公であり、賢明な君主や清廉潔白な官吏に頼るのではなく、公民意識を持って、自由、民主、法治を実践しなければならない」と結んでいる。
「われらの基本主張」は、次のような具体的提案を行っている。
1 憲法改正 2 三権分立 3 司法独立 4 人権保障
5 民主選挙の実施 6 二重戸籍の廃止(都市・農村に分かれた二つの戸籍を一つにする) 7 結社・集会の自由 8 言論の自由
9 宗教の自由 10 公民教育の民主化 11 私有財産制の確立 12 社会保障の確立 13 環境保護 14 香港・アモイの民主制度を維持し、中国各地区の平等発展を図る 15 政治的非迫害者の名誉回復
インターネットの普及によって、中国当局はこのような政治的主張の流布を阻止することができなくなった。もはや「壁新聞」の時代ではない。文革期、「李一哲の大字報」が注目されたが、壁新聞(大字報)とインターネットの違いはあっても、その主張は驚くほど酷似している。
この憲章は、中華世界全般にじりじりと浸透し、やがて中国共産党一党独裁をうち破る起爆剤になるのではないか、と思わずにはいられない。