絶滅の危機を、深刻に受け止めなければならない
ヒメシロチョウの第3化の発生を期待して土手へ向かった。
土手に向かいながら、何頭でもいいからヒメシロの舞う姿を見たかった。
いつも頭に去来するのは草刈りのことだ。
もう少し先かと思っていた土手の除草、既に済んでいた。
刈られた土手を見て言いしれない気持ちに襲われた。
何度こうした光景を見たことか。この切なく空しく、暗澹たる気持ちは表現できない。除草後に抱く、いつも同じ思いだ。
昨年刈り残した場所を少しずらした区域を残し、すっかり刈られてしまった。
ところどころに、刈られたムラサキの花が見えた。ツルフジバカマは今美しく咲き始めたところだった。
数日前に1頭のヒメシロチョウがひ弱に舞い、紫の花穂を吸蜜していた。
第三化の1号かもしれなかった。
新しく刈り残された島には、ベニシジミ、ツバメシジミ、シオカラトンボ、ミヤマアカネ、イチモンジセセリ、ジャノメチョウ、モンキチョウなどが何もなかったように飛び交っていた。
刈られた大海原に浮かぶ小さな島は、まさに虫たちのオアシスだ。
ヒメシロチョウは、ここ数年は9月中は数えるほどとなってしまったが、舞う姿を見ている。
暫らく観察を続けたいが、いよいよ覚悟の絶滅が近い印象を持っている。
以前は門田から湯川までの堤防に広く分布していたが、今はここだけ、何とかいのちをつないでいる。
除草の問題は難しい。
ヒメシロチョウの特徴からは除草の意義もある。
でも、産卵された新しいいのちが蛹まで育つ間の除草はやめたい。
せめて羽化のピークを過ぎた頃が好ましい。
そして、何とか生まれた命に、刈り取り後に伸びた柔らかな新芽に産卵してもらう。それが1番だろう。
このところ数年間、奇跡的に命を繋いでいるといって過言ではない。
これから1~2週間の羽化、発生の状況次第では、ほぼ絶滅ということだ。
近いうちに、河川事務所へお願いに上がりたい。
土手の除草については、いよいよこれまで以上に真剣に検討すべき段階だ。
土手には、数年あまり見られなかったジャコウアゲハがかなり舞っていた。
数年間、注意して刈り残してもらったウマノスズクサに、幼虫を何頭も見ることができた。うれしい。
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一斉草刈り前のヒメシロチョウ (8/19撮)