妻を病院に送った。月一回の行動パターンは、診察の終わるまでの待ち時間に医院の近くの岩瀬書店で立ち読みをすることだ。
今日は新しい発見があった。郷土コーナーを覗いていて、かつての親しい同僚、白岩孝一氏の新刊本『徳一と法相唯識』に出会った。
もう4,5年になるか、退職後間もない彼は「徳一を尋ねて」を上梓した。彼は徳一開祖の勝常寺の檀家でもあり徳一を顕彰したい一心だったと思う。
その後、彼は徳一研究家として、地域の徳一研究会などの講師を務めていることを風の便りに聞いていた。
今回の分厚い本 『徳一と法相唯識』は、前著で提唱した徳一の「倫理と論理」について掘り下げた続編、早速手に取って、走り読みした。
「はじめに」と「おわりに」をしっかり立ち読みした。実に充実した文字を追い、仏教にある「唯識」についての彼の思いに引き寄せられた。
この力作を手にとって、彼の心の動きを思った。
物心両面の西洋思想と対比した、徳一の説く「こころ一つ」の思想哲学が示されていた。
前回「徳一を尋ねて」の発刊を新聞の報道で知り、すぐにブログに書いたが、今日は驚きの第二弾である。
彼は工業高校機械科の教師だった。在職中は彼が徳一について研究していたことは知らなかったが、彼の工業技術教育の根底には、生徒にあるいは人間に訴える「唯識」思想、哲学があったのかも知れないと思った。教師の一番大切なことだろう。
我々はだれも、学んだ先人の教えを自分の哲学にしてこころ豊かに生きようとしてきたのだと思う。今老いて知ることだが、自らを見つめると、いろいろな因縁で学ぶようになった先人の教えを支えになんとか生きてきたような気がする。
それらは、老子、良寛、道元、兼行、賢治・・・・だった。そして今度は、その昔郷土に教えを広めた徳一、についても学んでみたいと思った。とりあえずは「唯識」について知りたいと思う。
昔在職中には、学校改革の仕事でご一緒し議論しあった彼だったが、これからもときどき話しを聞かせてもらいたいと思う。そして教えて貰いたいと思っている。退職後は皆さようならで、ほとんどそんな付き合いはない。そのうち彼と連絡をとってみたいと思っている。
まだ立ち読みだけ、ネットで目次を調べた。(「BOOK」データベースより)
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徳一と法相唯識 白岩孝一著 (長崎出版)
【内容情報】『解深密教』唯識論書などを俎上に在野の研究家が読み解く徳一が学んだ唯識とは。
【目次】 第1章『一乗要決』に見る徳一の教学/第2章 法相唯識への手がかり/第3章 法相唯識の歴史/第4章 法相唯識に関する仏典/第5章 法相唯識の入門書『法相二巻抄』/第6章 唯識思想の現代的意義
【著者情報】白岩孝一:1947年会津生まれ。東京の機械メーカー勤務を経て、福島の県立学校教諭に就き、主に工業高校で教鞭を執る。退職して徳一研究に勤しむ。
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徳一について調べ始めました。
大論争の相手、空海、最澄すら知らずに,徳一などどうしようもありません。まず、密教、真言から少しづつ始めます。
密教の,人間・人類共通の原理に興味があります。
「唯識」初めて聞く言葉でした。正直、よく理解できません。
いろいろ教えてください。
現代においても、三島由紀夫氏が唯識に取り組んで挫折したことが、遺作「豊饒の海」を読むと良く分かります。お節介ですがコメントします。