都月満夫の絵手紙ひろば💖一語一絵💖
都月満夫の短編小説集
「出雲の神様の縁結び」
「ケンちゃんが惚れた女」
「惚れた女が死んだ夜」
「羆撃ち(くまうち)・私の爺さんの話」
「郭公の家」
「クラスメイト」
「白い女」
「逢縁機縁」
「人殺し」
「春の大雪」
「人魚を食った女」
「叫夢 -SCREAM-」
「ヤメ検弁護士」
「十八年目の恋」
「特別失踪者殺人事件」(退屈刑事2)
「ママは外国人」
「タクシーで…」(ドーナツ屋3)
「寿司屋で…」(ドーナツ屋2)
「退屈刑事(たいくつでか)」
「愛が牙を剥く」
「恋愛詐欺師」
「ドーナツ屋で…」>
「桜の木」
「潤子のパンツ」
「出産請負会社」
「闇の中」
「桜・咲爛(さくら・さくらん)」
「しあわせと云う名の猫」
「蜃気楼の時計」
「鰯雲が流れる午後」
「イヴが微笑んだ日」
「桜の花が咲いた夜」
「紅葉のように燃えた夜」
「草原の対決」【児童】
「おとうさんのただいま」【児童】
「七夕・隣の客」(第一部)
「七夕・隣の客」(第二部)
「桜の花が散った夜」
「おたんこ茄子」のほか、次にあげる言葉を使ったことがありますか?
意味はちゃんと理解していますか?
今回は、ちょっとリアルな話なので、嫌な人はスルーしてください。
① おたんこ茄子
② ヘタレ
③ おさしみ
④ 気を遣る(やる)
⑤ 上げ底(あげぞこ)
⑥ 貝合わせ
⑦ おちゃっぴー
⑧ 身代金
⑨ 相方
⑩ どら息子
⑪ 本腰を入れる
⑫ 夜桜見物
⑬ 床
⑭ 泣きを入れる
⑮ やり手
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① おたんこ茄子:「出来損ないの短小茄子」という意味で、茄子は男性性器のことです。嫌な客にも使います。
② ヘタレ:昔は男性器のことを「へのこ」と呼び、これが垂れてしまう状態を「へこたれる」と言ったことから、情けない人のことを指す意になりました。ですから、女性に向かって「ヘタレ」と言うのは間違いということになります。
③ おさしみ:キスのことです。これは、キスの感触が魚の刺身と非常に似ているため。また、当時は今のような高性能な冷蔵庫もないですから、生温い刺身を食べていたはずです。これが人の舌や唇の温度とよく似ていることから、こう呼ばれたそうです。
④ 気を遣る(やる):性交において男女がオーガズムに達することを言います。「気」は東洋医学で陰陽のエネルギーを持ち、男女が性交によりそれぞれのエネルギーを交換し吸収しあうことで、よい効果を発揮すると考えられていました。また、今でこそ「性交できれいになる」というのは女性誌の特集などでもよくあるそうですが、昔は男性こそ性交で健康美を手に入れられるとされていたようです。健康オタクで有名な徳川家康や毛利元就などの戦国武将も、医者にこの話を聞いて実践していたという記録が残っているそうです。大奥は健康のためだったのか・・・?
⑤ 上げ底(あげぞこ):一般的には、実際より中身を多く見せるために、箱や桶(場合によっては靴)などの底を少し上げて作ったもののことを指しますが、遊郭ではペッサリーのように懐紙を詰めた避妊法のことを「上げ底(あげぞこ)」と言ったそうです。彼女たちにとって妊娠は重大な問題であったと同時に、嫌な客との行為で気を遣らないために使われていたとも言われています。
⑥ 貝合わせ:女性同士の性行為の一種。その形状からまさに貝と貝を合わせてことを行う、という意味でこの言葉が使われました。たとえば、幼い女児は「シジミ」、年頃になると「ハマグリ」、熟女は「赤貝」…だそうです。
⑦ おちゃっぴー:お茶ひきのこと。遊郭で、売れない遊女が場を持て余してお茶でもひくしかない状態。当時は、お茶の葉は臼でひき、茶粉をつくってから飲むのが主流でした。また、お客から声もかけられずお茶ばかりひいているような遊女たちは、おしゃべりでしとやかさに欠けている者が多かったことから、「おしゃべりで活発な女性」を意味する言葉としても使われるようになりました。
⑧ 身代金(みのしろきん):厳しいしきたりのため遊郭では、遊女が外の世界に出るのは結婚してお嫁に行くほかありませんでした。そして男性側は、遊女をお嫁にもらうためには遊郭に莫大なお金を支払う必要があったのです。身代金とは、このように遊女を身請けするための資金のこと。人身売買のお金のことです。身代金が支払われるということは、遊女にとって金で買われることです。幸せであったかどうかはわかりません。
⑨ 相方(あいかた):相方は、今の漢字のほかに「敵娼」とも書き、遊郭で客がお気に入りの遊女を呼ぶときに使う言葉でした。一度「敵娼」を指名したらほかの遊郭の遊女と会うことも禁止という、暗黙のルールもあったそうです。私は詳しくは知りませんが今で言う「永久指名制度」のはじまりのようなものだということです。それがいつの間にか漫才やお笑いの世界でも使われるようになったのです。最近は、彼氏彼女のことを「ウチの相方が…」などと言うこともあるようですが、これはある意味正解であればいいのですが・・・。。
⑩ どら息子:昔は時報に鐘を使ったが、このことを遊郭では「鐘を撞く」(つく)と「金を尽く」にかけたというのだ。つまり、客がじゃんじゃん金を使うようにという縁起言葉の隠語でした。そこから金をじゃんじゃん使い果たす、つまり「銅鑼(どら、すなわち鐘)を打つ」の銅鑼をとって「どら息子」という言い方が生まれたと言うことです。
⑪ 本腰を入れる:実は男女の寝室における「営み方」を指す言葉なのです。昔は男女の営みは「子作り」の為であり、気合を入れねばならないもののであったのです。だから、その状態はあくまでも本式の構えでなければならず、いい加減ではいけなかったらしい。古人は真剣な気構えで性交に臨んだのです。その熱心さ、本気さで万事物事に取り組むということで、現在の用法になった、ということのです。知ってしまうと、つい「もっと本腰を入れてやってくれ」とは言いにくくなってしまうかもしれません。
⑫ 夜桜見物:昔は「吉原」に行こうと言う意味だったのです。ライトアップが無かった時代、吉原だけは灯りが煌々と照らされていて夜桜を見られたからです。
⑬ 床(とこ):「ねどこ」「ゆか」ではなく「房事(ぼうじ)」のことです。「あの客に床をつけた」などと言ったそうです。「客と遊ぶ」も「お祭」も同様の言葉です。
⑭ 泣きを入れる:現在では、泣きついてわびをいい、許しを求める。哀願することです。しかし、元々は遊女が「床」で必要いじょうに痴態、嬌態をすることで、つまり演技をすることです。
⑮ 遣り手(やりて):腕前のある人。物事を巧みに切り盛りすることです。やり手のもともとの意味は、遊郭で遊女の指導・手配などをする女性のことです。時代劇では奥部屋でいろりの前に座って遊女に指示をしたり、「お兄さん、いい娘いるわよ」と呼び込みをしたりする中年女のことです。後にこれが転じ、遊郭に関係なく、切り盛り上手な女性を遣り手婆というようになります。ただし、遣り手婆は、言葉巧みに誘い込むといったような悪い意を含む罵り言葉であり、切り盛り上手なことを賛辞するものではありません。
もう、お気づきだともいますが、これらは全て廓の隠語、「遊郭用語」だったのです。
描写が的確というか何というか…昔の人が考えた言葉って、妙にリアルで、どこか艶めかしさがあります。ズバリと表現せずに婉曲な言い方が妙です。
意外と語源を知らずに使っている言葉があったのじゃありませんか。
「私のおさしみ、いかがですか? 」などと、大胆且つ、機知に富んだ言葉を用いてみると、強大なアピールになるかもしれません。ただし、相方がその意味を知らなければ、せっかくのアピールも無駄になりますが・・・。
なんとも意味深長な言葉だったのです。もう使えなくなった言葉はありますか?
したっけ。