時間のずれ 2

今では築地市場も観光地となって、ほんの２０数年前まで中央区の迷惑施設だったことが忘れ去られている。築地市場の講堂で開催された各種の講習会（衛生、交通安全、労働災害等）ではいつも築地市場の無法さを指摘されていた。中央区の全生ごみの排出量の半分を築地市場が占めていたときもあった。人口も５万人ほどで地価も高く、中央区には築地市場関連の人しか住めないところだった。今ではタワーマンションが林立し、人口が１０万人になり、築地関連の住民の割合は下がった。
　観光地化への変化は数寄屋橋から朝日新聞が築地市場正門前に引越ししてきた時から始まったと思われる。内々のことでは許される行為も部外者の常識と築地の常識のずれから徐々に変化し、昔のしきたりが消えてゆくこととなる。そこに人手不足による外国人労働者が跋扈し、年寄りの日本人との間にしきたりが消えざるを得ないとなってしまったようだ。不景気な２０年が過ぎると外国人労働者が消え、日本人の市場に戻ったが八百屋、魚屋等の昔ながらの多数の得意先が消え、気風も消えつつある。観光客が築地場内のところの飲食店に入ることもなかった。テレビ局の暴放送前は行列の出来る飲食店は少なかった。