今では消えてしまったと思われる(なた豆)の意味を隠語辞典(昭和31年出版)で調べると記載されていない。すでに女衒が遊女の価値を図るためのなた豆を食させるということが消えていたようだ。明治に入って西洋医学から癲癇(てんかん)を見分ける方法がナタマメで無くなったようだ。
今の医学だと人間の体には、神経が張りめぐらされ、その神経の中を弱い電気信号が通ることによっていろいろな情報が伝達されます。脳には神経細胞が集合し、さまざまな情報を処理しています。しかし例外的に過剰な電気信号で体の制御ができない状態になったとき、テンカンと言われるようです。今でも完全にテンカンは解明できていないようで当然ナタマメを食してテンカンの発症の可能性を探ることはできません。この遊里の隠語が消えたのも明治の本草学の衰退と同じである。つまり薬効の証明ができなかった。
ということは江戸時代の初め1600年台。記録から1604年の文献がある。中国から日本にやってきたナタマメはどのような薬効を期待されていたのだろうか。