入院中に読んでいた本。眼瞼下垂気味でも、片目が空いていたので、(僕たちの野田争議)とダニエル・v・ボツマン著(血塗られた慈悲、笞打つ帝国。 -江戸から明治へ、刑罰はいかに権力を変えたのか?-)をゲームの間に読んでいた。野田争議は特攻に行って亡くなった叔父が高校生の時期にキッコ-マンが支援し敷地を提供するなどしていた野田農工学校に通っていたので、争議の後の状況を知りたかった。今でも昭和の初めの野田の町は触れてほしくない争議のようだ。戦前の労働争議としてはスト期間が最長でかなり野田市民の中にしこりが残っていて、労働組合から会社へ寝返った人に暴力をふるったり硫酸を振りまいて失明された人もあった。町全体が疑心暗鬼の暗い時代だった。今は野田農工学校は千葉県立清水高校となって、キッコ-マンの労働者養成学校から普通の学校へ変わってしまったようだ。コロナが収まったらもう一度野田の図書館で郷土資料を調べてみたい。野田市民がスト後にどんな思いを残していたのだろうか。
もう一冊の本は、明治日本の最大の政治課題だった不平等条約の改正で、領事裁判権の問題が日本人裁判官によって、狭い不衛生な日本の監獄に収監される懸念があった。武士の世は拷問による自供が重要視されていて、多くの冤罪があった。さらに取り調べの番屋と牢獄の環境がひどく、明治に入っても多くの未決の人が取り調べ中に病死した。また収監中の食事も肉食と米食の懸念もあった。そこで上海とかシンガポ-ルに監獄の視察に行ったようで、日本人犯罪者と異国人犯罪者の収監を調べたようだ。地道な調査が日本の監獄制度を改善し、今では取り調べ中の病死も減ったようだ。それでも江戸時代からの刑事部門の自白尊重が続いていて、たまに冤罪がある。今は監視カメラが犯罪を抑止ていて、昔の犯行が科学の進歩で解明されるのもあるようだ。
著書の最後の方に台湾と朝鮮の監獄が日本の植民地統治の仕組みが分かりやすく書かれている。監獄が統治と文明の象徴になっているようだ。