勝海舟 上巻 勝部 真長著
『勝』姓を消した縁者という文章がある。
勝家の言い伝えでは勝海舟の祖先は近江国坂田郡勝村から地名をとって名乗ったという。今でも勝町に住んでいる親類の名前は且本さんで明治戊辰の騒ぎで、勝を且本(かつもと)に変えたという。朝敵となった幕臣勝海舟の縁者とみなされ官軍からどんな目にあわされるか判らないと、近所の寺に村の人々が集まって、後難を恐れ、勝の名前を消したという。(81頁から82頁)
明治以前は戸籍もはっきりしてなく、いわゆる明治の壬申戸籍から日本国民が始まるらしい。戸籍と国籍の本を読んでいるが、役所の戸籍係は一番役人の人気のない部署で難しい案件はすべて上級官庁の指示待ちとなっているようだ。
戸籍がないと日本人の証明にはならないが、ここで戦後日本から離れた、台湾と朝鮮の人たちの扱いが難しいことになる。昔在日の朝鮮半島の人たちと漬物業界の慰安団体旅行がグアム島で行われた。オプションッア-でサイパン島行きがあって、団体の仲間の在日朝鮮人の漬物業者もサイパンに向かったが、戻りのグアム島で入国管理のところで、差し止めを受けた。どうも朝出発してもビザらしきものがないのでダメという。そこで日本人の旅行仲間たちで団体交渉をして、グアムに戻れた。そこで実感したのは在日の人と日本人のパスポ-トの力が違うということだった。
犬神家の戸籍 -「血」と「家」の近代日本- |
遠藤 正敬著 新聞の書評でこの本を読み始めたが、戦後の混乱期の題材で戸籍と日本人の成り立ちが明治の壬申戸籍から始まるようだ。ところが厳密な戸籍制度が日本に生活していて、住民票があればなんとか生活が出来るので無届のため戸籍がない人もあるようだ。さらに海外から観光ビザで日本に入り、不法滞在状態になり、出産等で無国籍になる事例もある。戸籍事務の混乱が戦後にあって、その無国籍の人の戸籍復活方法も書かれている。 読んでいるとこの戸籍の本質は一般国民は理解していないと感じる。夫婦別姓以前の問題が隠れているようだ。 |