年寄りの漬物歴史散歩

 東京つけもの史 政治経済に翻弄される
漬物という食品につながるエピソ-ド

明治42年11月18日東京朝日新聞①

2007年03月16日 | 福神漬
明治42年11月18日東京朝日新聞
不正醤油処分は如何

その筋に中毒者なきか
日本醤油醸造の不正醤油は大阪府における約450石、兵庫県における約1万石の他に岩手県においても約400石の発見があり、同社がこの不正醸造関係はよほど注意深い計画のもとに行われたるものの如く、かのサッカリン(輸入)課税問題の出ると約百万円近くの見込み輸入決行し現在なお当該品(サッカリン)を多数貯蔵しているならばこの不正醤油は上記一府二県に限らず、おそらくはその販路とともに各府県にわたり、発見することは難しいことではない。むしろ東京においてその発見がないことが不思議でならない。ことにその罪悪はサッカリンの甘味を付与することに止まらず防腐剤としてホルマリン含有の疑いありというに至ったのは食料品衛生上近来に無き大事件である。

その筋に中毒者なきかとは当時アヘン中毒のようにサッカリンが習慣性をもたらすか心配していた。


解説 サッカリン関税
明治39年11月1日よりサッカリンの輸入関税が斤15銭から60円となったので、これを見越して輸入が急増した。東京読売新聞データベースより
1斤は約600G 関税が400倍となった。これでは砂糖の代わりにサッカリンを使う必要性が薄れる。
明治41年2月24日 東京読売新聞
サッカリンの密輸が増加しているとの報道。
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明治42年11月17日大阪毎日新聞

2007年03月15日 | 福神漬
明治42年11月17日大阪毎日新聞
大阪毎日新聞の日本醤油事件の記事は少なく、また内容もそっけなく17日に記事が出ている。大阪朝日新聞と比較すると記事の量が圧倒的に少なく、出し抜かれた観が記事に現れている。
▲ 日本醤油搬出停止
日本醤油尼崎醸造工場の既製品全部は厳重に封印を施しこのほどらい兵庫警察本部においてサッカリン混入の有無を分析中だったがその内分析済みのうえ含有を認められた分170石入り45樽合計7650石に対し15日警察部より会社に対し(サッカリンを含有している)醤油の搬出差し止めを命令した。なお未分析の醤油も少なからずあるのでまた同様の嫌疑があるという。


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明治42年11月17日東京朝日新聞

2007年03月14日 | 福神漬
明治42年11月17日東京朝日新聞
甘精(サッカリン)入醤油の処分
大阪府及び兵庫の警察部にて押収した甘精(サッカリン)入りの日本醤油醸造約一万石の処分に付き両府県とも内務省に指令伺い中であると既記の通りなるが同省において他の純品と混合して販売を許すとなれば身体に害を及ぼすようなこともないといえども飲食物取締規則・人工甘味質取締規則を無視することになり、今後の取締に一層の困難を生ずべく、さりとて全部廃棄を命じると国家経済上の損失となる等の議論まちまちとなり直ぐに結論が出なかった。科学上サッカリンを分解する方法はあるだろうか、その方法があっても行なわれ難く結局は廃棄の外に道ないという説が最も多数を占めている。とにかく実地検分の必要ありとて安東防疫事務官は18日高松市へペスト視察のため出張の途大阪に立ち寄り詳細打ち合わせをするはずにて16日その旨内報ありという。
明治42年11月17日大阪朝日新聞
▲ 日本醤油の処分
○ 内務省の方針定まらず
大阪府及び兵庫の警察部にて押収した薩可林(サッカリン)入りの日本醤油醸造約一万石の処分に付き両府県とも内務省に指令伺い中なると・・・・・

東京朝日新聞と記事内容は同じ。東京は甘精(サッカリン)、大阪は薩可林(サッカリン)。明治時代の造語は関東と関西が違っていたということか。
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明治42年11月14日大阪朝日新聞

2007年03月13日 | 福神漬
明治42年11月14日大阪朝日新聞
○飲食物の危険
所長会議のため来阪の内務省衛生試験所技師田原薬学博士を13日大阪衛生試験所に訪ねて飲食物に関する談話を聞いた。
▲飲食物と公徳
最近、醤油中にサッカリンを発見したところから、サッカリンの有害無害について種種な説もあるようだがそんなことは詮議だてをする必要はない。人間の生命をつなぐ飲食物は純良なるが上に純良なるものを選ぶようにせねばならぬ。全体が染め粉で色を付けてサッカリンで甘味を付けたようなものは例え無害であっても栄養上何の効果もないから、贋造物(にせもの)というのが至当であって現にロシアなどでは国内でサッカリンの製造を禁止している。日本の政府が禁止したのは単に公衆衛生上から見て当を得た話で禁を破っても使用する者が多い今日で公然と許すとなればすべての物に乱用して始末に終えぬ。ようは商人の公徳如何ににもよるが競争が激しくなればなるほど贋造物が出やすいからやはり厳重に取締る外はない。
▲飲食物科学者
欧州には飲食物科学者というものがある。その者は薬剤師と同じように綿密な試験を受けて飲食物巡視員に採用され絶えず巡視しているから滅多に怪しいものは販売されない。また、衛生試験所も至る所にあって個人が使用せんとする飲食物の試験を願って出るものや商人の販売品を試験しこれに証明を与える。されば商人は自家商品の価値を保つために進んで試験所の監督を受けるようにしている。スキさえあれば不正手段を用いようとする日本商人はとても差が大きくて同じ扱いはできない。
▲硫黄で燻べた飴
しかるにアメリカになるとこうはいかない。現に先年日本の養老飴よりも透明な飴がアメリカから輸入された。菓子屋はこれを西洋菓子の原料にするため争って購入したが良く調べてみると硫黄で薫べて晒したものである。硫黄は人体に有害であるから早速使用禁止したが。チョッと油断するとこういう風な危険な飲食物が出るから今後衛生取締の上には更に厳密なる手段をとるようにせねばならぬ。

養老飴とは今のゼリー菓子の原型。
明治時代後期に東三河・(愛知県)田原町の鈴木菊次郎がオブラートを発明し、さつまいものでんぷんから水あめが作られたことから、豊橋ではこの2つを利用したゼリー菓子の生産が発達しました。その原型は「養老飴」と呼ばれた。養老飴は寒天・砂糖・水あめから作られる。


内務省衛生試験所技師田原薬学博士はこの事件の前の年「味の素」の無害の証明書を発行している。味の素の創始者鈴木三郎助の食に関する販売政策は今でも先進性がある。すでに当時サッカリンの取締りが盛んに行なわれており、政府の税収のために取締っていたのは明白であったため、予め無害の証明を取る必要があった。


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明治42年11月13日不正醤油の処分案

2007年03月12日 | 福神漬
明治42年11月13日大阪朝日新聞
○ 日本醤油の処分如何
薩可林(サッカリン)のかどを以って封印差押えられた日本醤油の処分に関し警察部において二説あり、ひとつはサッカリン含有が希薄であるならば有害でなく故に現在混入している醤油に対して新たに他の醤油を混入しサッカリンが科学的に反応を起こさない程度に希薄すれば衛生上何の危害がないようにすれば廃棄処分を命ずるに及ばずといえる。もう一つは例え希薄にしても衛生上無害といえどもサッカリンの混入していることが明白なるものは法律命令に照らし純然たる不正品であるので程度の如何によらず廃棄せしむるものである。いわんや人工甘味質取締規則には量の多少に関係なく絶対に使用を禁止している物である。両説もそれぞれ理由があるために未だ不正醤油の処分を断行すること出来ず。従って日本醤油会社は新規販売を差し止められこのままむなしく日子を経過している。醤油醸造を中止している有様なのでこれはひとり衛生警察上の問題にとどまらず約2万石の醤油を廃棄し、かつ今後日本醤油醸造会社をほろぼすことは経済上及び国家の収入にも多少の影響あることなので大阪税務監督局にては二三日前局員を派遣して実地調査して事実警察部の試験に相違がないのを確かめたもののその処分に関して別に1説あって、すなわち科学的反応が出ないほどに希釈すれば分析技術上サッカリンの存在を証明することが出来ず当然自由に販売して差し支えはなく、かつ科学反応なきまで希薄することによって、衛生上有害物となることはできず、しかも経済上価値ある醤油を無意味に廃棄することは国家経済上の損失を招くことになるという議論となった、これはかってホルマリン混入の酒について警察部と協議して同様の処分をした前例があったと言える。

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明治42年11月11日東京朝日新聞

2007年03月11日 | 福神漬
明治42年11月11日東京朝日新聞
甘精(サッカリン)混入醤油調査
東京市内には不正品を発見せず。大阪地方に於いて日本醤油醸造株式会社尼崎工場の“不正醤油検挙”以来警視庁にては先頃より日本醤油本社の本社製品を検査に着手していたがこの件に付き警視庁衛生試験所のxx技師は次のことを認めていた。
 去る(明治)35年10月1日より一切の食料品は砂糖の代用としてサッカリンの使用を禁止し以来多方面に向かって注意と調査を怠らず発見の不正製品に対してドンドン処分し、今日にてはわずかに市内に散在する些細な飲食物に発見する位である。
 今回は思いがけず日本醤油醸造株式会社尼崎工場の製品中にサッカリンを使用していること関西地方に於いて発覚されたので東京の本社に於いて製造する醤油に対しても連日調査を試みたが今日までのところにては該社(日本醤油製)の醸造のみならず野田やその他の地方より(東京)市内に持込まれたる醤油中にもサッカリンを使用しいてるものが発見せず。されど昨今の日本醤油は世の信用を失いたる結果日本醤油の名をつけず市内の各小売業者に売り渡し、小売業者が勝手な名を付け販売している者がありとの説も聞いているので、今後は各方面より不正品を発見するやも知れず今なお調査を継続している。とにかく今日までの結果においてこのような(サッカリン使用の)不正品を(東京)市内で発見はしていない。
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明治42年11月11日大阪朝日新聞②

2007年03月10日 | 福神漬
明治42年11月11日大阪朝日新聞
○薩可林(サッカリン)問題
▲有害ならず 東京帝国医科大学 林医学博士談
いま仮に『サッカリンは有害であるか?』との問題を出されると『有害である』と答えることは出来ない。但しこれは程度問題にして平素から多量に飲用すれば人身すなわち腸胃を害し腎臓を害するは事実なり。されど未だこれがため中毒した者または他の病気を引き起こした者等実際に聞いたことはない。ドイツにおける甘味素取締規則(ジュース・スットプ)はサッカリン並びにドユルチンその他腹中に入り変性せず原型のまま排泄されるものにして栄養無き物はすべてその飲用を禁止して居れど有害なるがゆえはこれを禁止すると言う条文はない。これはいわゆる使用程度の如何に関するがゆえわが国の社会衛生上多少とも消化機能を害しかつ栄養分なきものとしてこれを飲食物の使用に禁じたるはけだし当然の処置であるけれど醤油のごときものに混入される時はたとえば一斗樽の醤油を家族5人にて3~4ヶ月間に使用するにつき体内に入りて栄養とならないが害を及ぼすようなことはないことは明らかである。
▲ 有害無害の断定
サッカリンの有害無害については前後3日にわたり専門家の説を糺して記載した通りであるが何れの諸説も大同小異にしてサッカリンは決して有害物となるものでないがその容量が多ければ消化機能に多少の害を与えるという。学者の頭が国法という観念を離れて露骨に薬物その物のみの解釈を与えることに躊躇するむきがあるのは遺憾であるけれどこれはやむなき事情もあるべし。要するに政府が産業保護と一般衛生取締の必要上法を以ってこれが使用を禁止しているものを密かに使用するごときは罪悪なれど酒・醤油・菓子のごとき物に甘味を助けるために使用するとしても直ちに害を与えるものではないことは明らかである。
因みに片山京都医科大学付属医院薬局長より『御記載の一節は小生のお答えしたことと相違のかどあり、ことにその人体内における効力に関する説のごときは小生の専門外にしてこうも言及した記憶がない』旨申し来たので訂正いたします。
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明治42年11月11日大阪朝日新聞①

2007年03月09日 | 福神漬
明治42年11月11日大阪朝日新聞
○醤油事件と鈴木
日本醤油醸造株式会社の製品にサッカリンを混入して甘味を付し発売していたことは端無くも大阪警察本部の目にとまり大阪出帳所及び倉庫の在庫品全部を押収し、兵庫県警察本部においても同様尼崎工場在庫品一部を押収しその処分方法を内務省に伺い中の趣はすでに記事にした通りであるが前社長にして現主任技師である鈴木藤三郎氏は一切の責任を負って自決すべき旨田島社長に申し出でた。今回の出来事については田島社長も大いに憂慮し急速にこの問題を解決せんとしつつあるが重役の中で旅行不在の者があり、いまだ十分な協議を遂げることが出来ず時日を空費して株主はじめ社会一般をして会社の前途に対して長く危惧の念を抱かすことは不得策であると鋭意善後策について苦心しつつあれば遠からず成案の発表をみるに至るべきも鈴木氏は無論退社するほかならんとと某重役は語れり(東京電話)

昔も今も不祥事の後はパターン化されていた。
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明治42年11月10日大阪朝日新聞①

2007年03月08日 | 福神漬
明治42年11月10日大阪朝日新聞
日本醤油と輸入塩(神戸)
日本醤油会社は従来外商との間にドイツ塩の輸入契約をして外塩を醤油原料に使用してきたが今夏外塩密輸問題の発生と共にドイツを止め、更に台湾塩及び関東塩を使用することして12ヶ月前再製工場を設け毎年5千万斤の再製認可を受けたのは良かったがその後何ゆえか事業を開始せず当局者側にてもその理由を怪しんでいたが突然今回の事件(サッカリン混入事件)発生によって、会社が窮状をしていることが知られた。

外商とは外国の商社・商人とのことで、今の百貨店の外商とは意味が違う。
1斤とは (尺貫法の質量の単位)1斤はふつう160匁で、約600グラム。5千万斤は3万トンぐらいとなる。
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明治42年11月9日 大阪朝日新聞

2007年03月07日 | 福神漬
明治42年11月9日 大阪朝日新聞
薩可林(サッカリン)は有害か?
日本醤油醸造会社の醸造に関係する醤油中にサッカリンが含有していることが分かってあちらこちらでサッカリンの話がやかましくなった。内務省令では確かにこの人工甘味質を飲食物に使うことを禁じているがこのの省令は糖業者が運動して出してもらったのだ。サッカリンは決して人体に害を及ぼすものでないと言う説が時々我々の耳に入ることがある。酒から醤油から菓子からこうも内緒で乱用されるようになっては省令より実際の有害無害を知ることが先決問題だ。よって専門家の説を聞いて一般の参考に提供してやろう。
▲ 害を与える
片山京都医科大学付属医薬局長
元来サッカリンは白色無臭の結晶性の粉末なるが炭素、水素、窒素、硫黄よりなり酸性の反応を有し、甘味極めて甘きを以って甘味を付与するに適するといえどもその人体に有害なるや否やについては学者間に議論あるところしてその少量は有害ならざるものごときも、人体に入れば芳香化合体となって絶えず腎臓より排泄せられるため有害である。ゆえに、我が国においてもこのサッカリンを菓子その他に混合することを厳禁した次第にて酒、醤油のごとき日用品にこれを混合する時はその量少ないといえども常用することで体内に知らず知らず芳香化合体を蓄積する恐れがあり極めて危険である。

(芳香化合体とは今の芳香族化合物のことか。ベンゼン核を有する化合物は芳香族化合物の代表である)
▲ 用量の如何による
大槻大阪医学校病院薬局長
人工甘味質取締規則が出たのは勿論砂糖(業界)保護の目的であるといえども有害無害は絶対の説でなく用量の如何による。もとよりサッカリンを甘味料として食しうる程度に於いては、どの位の量を用いると人体に害を及ぼすかは不明であるが到底組織を破壊するごときものでなくわずかに消化不良を生ずる位である。甘味は通常砂糖の300倍より600倍に及ぶけれどサッカリンのみ用いるのでなく砂糖の補助となるだけでなく酒、醤油等に用いられては甘味を付与するためともう一つは防腐の効き目あるといわれている。されど防腐の効果は至って弱く薬用としては単に糖尿病患者に与える薬味料として用いるのみであり。輸入の大部分はことごとく飲食物に使用しているものなのでサッカリンは取締規則による有害物である。

明治42年の時にすでに「人工甘味質取締規則」は砂糖業保護と税収確保のため制定されたと知られていた。サッカリンの危険性に関して現在とかなり異なっている。
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明治42年11月8日大阪朝日新聞②

2007年03月06日 | 福神漬
明治42年11月8日大阪朝日新聞
○日本醤油事件 各地の反響
名古屋地方
また去る八月中三河岡崎地方へ東京方面より行商人らしきものが入り込みサッカリン入りの不良醤油数十石を素人家(今の言葉で消費者)に売りつけた悪漢があった。警察は取調べをした上、廃棄処分をしたら犯人はすぐに姿をくらましたこともあって、これ以来警戒中であった。今回大阪の検挙事件が伝わるとともに予め取次販売者(問屋)に調査をし有毒物が含まれておれば直ちに押収処分する手順となっている。なお大阪方面より各地に搬出される漬物類及び昆布類等の中には近来怪しき薬物の含有するものもあるようで現にこのほど大阪製の福神漬中に多量のサッカリンを含有しているのを発見して直ちに廃棄処分をしたこともありこれ等の方面に向かっても警戒している。(名古屋通信部)

広島地方日本醤油醸造株式会社にて醸造した醤油が広島地方に輸入して販売の目的を以って貯蔵しているものは4斗樽120挺1斗樽250挺ほどでその他にも瓶詰め多数があるので警察部にては5日より試験中であるが上方に於いてサッカリンの混入していると伝えられていた亀甲印(醤油)にサッカリンが入っているのを確認した。(広島電話)
福神漬という言葉がすでに大阪方面でも漬物の名称として通用していることがこの記事で知られる。
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明治42年11月8日大阪朝日新聞①

2007年03月05日 | 福神漬
明治42年11月8日大阪朝日新聞
○ 日本醤油事件 各地の反響
醸造所より発見
兵庫県警察本部衛生課にては二日日本醤油醸造株式会社尼崎工場における製品全部の中22種の原品を引き上げ4日より分析試験中であるが6日朝に至って22種中4種は確かにサッカリンの混入があることが発見したので事態が容易ならざるとなりxx技師はこの処分のため、急遽尼崎に出張した。こうしたサッカリン入りの4種類は樽詰してあるもの現在在庫1150挺ばかりにて直ちに封印を施したはずである。なお大桶その他の分に対して何らの反応を示していないが更に念のため精密検査の試験中であるが内村警察部長に今後の処分方法はどうなるのかと質問したところ,かくのごとく人工甘味質を混入したことを発見した以上同取締規則に違反したものであるからそれ相当の処分が出るだろう。規則違反としては罰金25円以下の処分とするにしかなく。また職権をもって廃棄を命じる得るも警察者において混入物の除外方法を講じて規則に触れざるようにする処分とする以上、すぐに廃棄を命じることは無いと思える。また一方飲食物取締規則にも関するを以って断固たる処置については内務省に処分方法を申請するか,また本職に於いて適当な判断を下すか大阪警察本部と同様目下研究中であると云々。
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今日の築地市場の火事

2007年03月04日 | 築地市場にて
本日、築地市場で火事があって、東京都の巡視さんが早期に発見したため一店舗だけ燃えて、屋根まで火がいかなかった。市場休の練習と思っていたら、ヘリが上空で待機していたのでうるさかった。とにかく消えて一安心。消防車は10台以上来ていました・
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明治42年11月6日不正醤油検挙後 後聞

2007年03月04日 | 福神漬
明治42年11月6日大阪朝日新聞
不正醤油検挙後 後聞
現品搬出の禁止
日本醤油醸造株式会社尼崎工場の製造醤油にサッカリンを混入して販売していたことを大阪警察本部にて発見されその捜査の進行に伴い以外に大げさになったので管轄の兵庫県警察部において傍観することも出来ず去る二日会社所在地である所轄尼崎署に命じて同社貯蔵の醤油全部に対し試験資料の提供を求め、目下分析中であるが、xx衛生技師は四日午後突然尼崎署に出張、中川尼崎署長とともに会社に赴き仔細に検分し社長・重役と談合の後夕方引き上げた。その結果同警察部は五日会社に対して当分のうち醤油の搬出を差し止める旨命令をした。多分混入の形跡あるもののサッカリン混入の件で狼狽に狼狽を重ねていた。主任技師は尼崎署に人力車で向かい、中川署長と長時間密談していたようである。
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明治42年11月6日大阪朝日新聞

2007年03月03日 | 福神漬
明治42年11月6日大阪朝日新聞
一面トップ記事
日本醤油会社の大失態
近年産業の進歩は、機械力を応用して自然力に打ち勝とうとしている。一個人の出資としないで数千人、数万人より出資を求め、大仕掛けの会社組織と事業経営を為そうとしている。かかるがゆえにあらゆる産業が古式をそのまま踏襲し、一子相伝的に経営するものは、徐々に敗北者になるような観ある。しかし、静かに考えてみると、科学の大進歩とてここ百年来のことであり、軍事上、政治上、ことに産業上に学問の応用が旺盛となったのはここ三四十年のことである。しかもなお日進月歩の途上にある。日進月歩とは昨日採算が取れていたものが今日は不採算となる、今日の経営状態が良好であっても来月は大改革を要する状態となっていて油断もすきもない世の中のたとえでもある。うっかり生半熟の試作を信頼して、大仕掛けの経営を為そうとして、とんでもない大失態の素となるものである。数日にわたり本紙に連載した60日醤油の醸造元である日本醤油醸造株式会社(資本金1千万円)の大失敗、すなわちこのたとえの例となっている。同社は明治40年に創立した新会社で、従来二年余の時日を費やせねば完全なる醸造を得難かった醤油をわずか二ヶ月に短縮し。内地の醤油需要を一手で充たすのみならず、海外に輸出して日本醤油をあまねく世界の津々浦々に味あわせようと凄まじき意気込みと目論見をもって出資株主を募集し、あっという間に集まった大会社であった。

大阪朝日新聞の旧来の産業と新しい産業に対する見方。明治末期の資産運用として株式会社という制度で未公開株(現在の言葉で)を昭和バブル期のゴルフ会員権のように小分けして公開して行ったのだろうか。


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