世の中に簡単に扱えるものは沢山ありますよ。
それは、簡単に誰でも扱えるようにするために
多大な時間と労力がどこかで費やされているから。
そういう意味では簡単に出来る事なんて、世の中には一つもない。
趣味の世界でもそれは同じかな?
僕の場合、スポーツを色々とやってきた。
一番長く続いているのが、今もやっているサッカー。
もう45年も続けてきているけれど、一向に上手くならない。
でも、逆にこの歳になっても『もっと上手くなりたい』
と思っているのも事実です。
この『もっと上手くなりたい』は音楽や芝居でも同じ。
これでもういいや・・・・なんて思うようになったら楽しくない。
もっと上手くなりたいと思う気持ちがあるうちは、
気持ちが前に向いているんだって思います。
とりわけ、今は芝居の公演に向けて稽古に励んでいます。
早いもので芝居を始めて、今年で13年目に入りました。
サッカーや音楽は個人的な練習をいくらでもできる。
サッカーの場合、チームがあって戦術があって・・・・
それでもサッカーで必要なテクニック、ボールを蹴るキックや
ボールを止めるトラップなどは、個人的な練習で培うしかない。
音楽も同じで、とにかく練習することが何よりも大事。
練習嫌いは決して上手くならないし、実際に上手い人はいない。
自分は出来るなんて思って、練習しない時点で終わりです。
ところが芝居っていうのは、音楽のように一人で演奏したり
サッカーのようにボールリフティングしたりと言う事が出来ない。
芝居の稽古が始まるまで、個人的に出来る事と言ったら、
せいぜい発声練習くらいかなぁ?
その他は、普段の生活で他人がやっていることを見て、
表情や所作を観察することぐらいしかない。
これはサッカーで言うイメージトレーニングになるんでしょうね。
それに、配役によって喋り方、声の出し方、動き方などが全く違う。
元気な声で喋る重病人なんて、まず居ないだろうし、
若者のように素早い動きをする介護老人なんてのも居ない。
つまりそういう部分が『芝居』の要素として大事になる。
お年寄りの歩き方を見たり、表情を見たりするのは勉強になります。
そんな訳で、芝居っていうのは役作りするのが大変です。
プロの俳優さんでも、器用に役をこなす人はごくわずか。
最近はアイドルから俳優として評価されている人が多いけれど、
僕から見ると『全部同じ役』に見える。
当然、使う側はその人のイメージで役を作るんでしょうからね。
そういうお前こそ、いつも同じだよ・・・・
と言われそうですが、その通りです。
判っているから、いつもと違う事をやろうとする。
そうすると肩に力が入って、台詞までおかしくなる。
芝居っていうのは本当に難しいです。