お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

凄い!今度はミツクリエナガチョウチンアンコウ

2021年11月20日 | 日記
 今日は仕事を終え家に居るとお世話になっている深海エビ船の方から電話が来る。電波状態が良くないと思ったら、珍しく沖から電話をしてくれた模様。その内容は今まで見た事がない黒くてアンコウみたいな魚が獲れたとの事である。14時頃帰港するので取りに来ればという事だが、今日は息子が帰省するので空港へ迎えに行かなければならない。なのでお断りして電話を切る。だが、よくよく考えたら標本を受け取ってからでも何とか間に合いそうである。更に空港へ行くので大学に寄り、標本を渡す事も出来るかもしれない。という事で再び電話し受け取りに行く意向を伝える。深海で黒くてアンコウみたいと聞けばチョウチンアンコウが思い浮かぶ。だが、深海エビ漁は水深400mでの底曳きだが、チョウチンアンコウの仲間はそれよりも更に深い水深に生息し、更に海底というよりは真っ暗な海中を泳いでいるイメージが強く、底曳き網に入るだろうかとも思う。とにかく早めに港へ行き、船の帰港を待つ。船が帰港し標本を受け取る。手のひらに乗せると小さな黒い塊で何だかよくわからない。だが、口が大きく体型からやはりチョウチンアンコウの仲間の様に見える。水の中に入れてみると全貌が明らかになり、チョウチンアンコウの仲間である事が確定する。だが、シンボルのイリシウムやエスカが見つからない。簡単に写真を撮り家に帰る。その写真から同定を試みると背鰭前方に肉質突起が確認出来、背鰭の形状からミツクリエナガチョウチンアンコウと思われる。ミツクリエナガチョウチンアンコウはチョウチンアンコウの仲間の中でも知名度が一番高く、日本に生息する魚類の中では標準和名が一番長い事でも有名である。ミツクリエナガチョウチンアンコウなんて標本すら見る機会が少なく、水族館などで見る事が出来たとしても模型だったりする。そのような魚を手に取り見る事が出来るなんて全く考えたことも無く、まるで夢の様である。家で丁寧に写真を撮る時間は無く、魚ボラの学生に連絡を取り、息子を迎えに空港へと走る。時間ギリギリなので心配したが、大学に着くと既に門の前で学生が標本を受け取る為に待っている。まさか門の前で待っているとは思っても無く、長い時間待たせてしまい申し訳なく思う。おかげで空港にはジャストで到着し間に合い、息子と再会する事が出来た。家に帰ると学生からメールが来ており、ミツクリエナガチョウチンアンコウと同定されたとの事。残念だが、チョウチンアンコウのシンボルであるイリシウムやエスカは欠落していたそうである。深海エビ船の方達にはこんな珍しい魚を丁寧に確保して来て頂き、本当に感謝感激である。明日は日曜日で本来なら休みであるが、来週は時化続きの予報の為、定置網漁に出漁する事になっている。今日はテンションが上がり夜寝る事が出来るだろうか。



ミツクリエナガチョウチンアンコウ



水の中に入れると全貌が明らかに



アカグツの仲間も頂く(魚ボラでオキアカグツと同定



ミツクリエナガチョウチンアンコウ



オキアカグツ



鹿児島空港

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