575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

隣家より嬰の声して良夜かな  亜子

2024年11月07日 | Weblog

自由題でトップ賞になった亜子さんの秀句。

美しい夜。窓を開けるとお隣から赤ちゃんの泣き声が聞こえます。静かな夜に響きますがそれは生きている幸せな音です。句会では嬰の声と月の対比。未来ある暖かな声がよいと絶賛でした。

童子さんからも「赤ちゃんの声の感じ方が優しいですね。」とのコメントが届きました。

作者の亜子さんは、マンションの9階にお住まいです。以前、お隣に双子の男の赤ちゃん(ゆう君とこう君)が生まれベランダから泣き声が聞こえていたそうです。後年、お隣さん一家は引っ越されたのですが、なんと先日、成人し社会人になったゆう君に亜子さんは突然、街中で声をかけられたそうです。その日は折しも十五夜だったとのこと。こんなことがあるのですね!!

このエピソードに一同驚愕。小説以上の物語性。

亜子さんは「回想を現在形で詠む」という方法を教えて下さいました。

今年6月に93歳で亡くなられた俳人鷹羽狩行さんは「俳句は過去をも映し出す鏡」と常々おっしゃられたそうです。

どうしても現在のことだけに目を向けて俳句を作りがちですが、過去を現在に取り出して詠める広がりにまたまた可能性を感じました。

いつも貴重なアドバイスを下さる亜子さん。先日お元気に米寿をお迎えになりました。心からお祝い申し上げます。             麗子

 

コメント (1)
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