ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

佐々木朗希投手のMLB移籍の舞台裏を知って

2025-01-22 21:55:29 | ひと

今夜のNHK「クローズアップ現代」は、「独占密着・佐々木朗希MLB移籍の舞台裏」という内容の番組であった。

 

佐々木投手と言えば、ポスティングシステムを使って、MLBのロサンゼルス・ドジャース入りが決まったばかりである。

客観的に見て、今まで、

「まだ23歳だし、そこまで急いでMLBに行かなくてもいいのじゃないか」

「ドラフト1位だったのだから、もう少しロッテに貢献してからでいいのじゃないか」

「移籍金が高くなってから行く方が、自分にとってもロッテ球団にとってもいいのじゃないか」

などと思っていた。

「ドジャースに決めたのも、大谷や山本ら日本人選手がいるし、もともと憧れがあったからじゃないのか」

などという邪推もしていた。

だが、今日の「クローズアップ現代」を見て、これらの考えはすべて吹き飛んだ。

 

今日の番組では、佐々木投手はNHKの独占インタビューに応じ、これまで明かさなかった決断の背景を初めて語っていた。

なぜ挑戦を急いだのか。

どういう観点で、MLBのチームを選んだのか。

番組を見て、そんなことが、初めて分かった。

 

彼の場合、大船渡高校時代、仲間と甲子園を目指していたのに、監督の判断(英断?)もあって、県大会の決勝では登板が見送られ、チームは敗れてしまったのだった。

また、彼は、小学校3年生のときに起こった東日本大震災で、父や祖父母を失っていた。

それでも野球をさせてくれた家族など、彼をさせてくれた人に対して恩返しをしたいという気持ちが強かった。

恩返しは、そういうさせてくれた人たちを喜ばす活躍をすることだと彼は考えていた。

だから、高校時代は仲間と一緒に、甲子園目指して猛練習をした。

指導の先生が帰っても、高校のトレーニング場の電気が消されても、仲間とスマホのライトを照らしながら練習に明け暮れたのだという。

だけど、彼の将来性をつぶしたくないという監督の判断から、高校野球の県大会決勝では投げずに敗れ、共に汗を流し野球に打ち込んだ仲間たちに対しても、ずっと申し訳ない気持ちでいっぱいだったという訳だ。

甲子園の夢が破れてから、彼は、ならばプロの世界に入って、一番のピッチャーになりたいという思いを強くした。

ところが、入って1年目、彼がシートバッティングに投げていたとき、利き手の右ひじに痛みが走った。

そのひじ痛がずっと治まらなかったから、1年目の登板はなかったのだと初めて明らかになった。

幸い、原因が分かってひじ痛から回復することはできたが、たった1球で暗転する怖さも知ることになった。

 

その後は、史上最年少の完全試合達成などもあったが、彼の考える一番のピッチャーとは、MLBでサイヤング賞をとるような選手のこと。

自分を今まで支えたくれた人たちを喜ばせるためには、少しでも早くその実現に近づきたいということが、彼の本心だった。

いつ暗転するか分からないという経験が急かせていることもあるのだろう。

 

だから、代理人とのミーティングの様子や他球団の現地視察の様子なども放送されていたが、様々な観点から比較して入団するチームを決めていたことが分かった。

特に、同じチームに日本人選手がいるかどうかは、その観点には入っていなかった。

むしろ除外することを佐々木投手本人が求めていた。

結局、彼が決めたのは「自分を一番成長させてくれるチーム」ということが一番大きかった。

 

「世界一のピッチャーになりたい」

というのが、彼の昔からの夢だったのだろうが、今回の番組を見て、それだけが彼のモチベーションではないということを強く感じた。

それに加え、「自分が野球で輝くことによって、周囲の人の支えに応えたい」という思いの強さがある。

ある種の申し訳ない、という気持ちを抱きながら、「自分を支えてくれる人たちのために」

という思いを背負って、彼は野球をしているのだと気づかされた。

高校生のころは、父がいなくなった家族や周囲の自分を応援してくれる人のために。

ロッテに入ってからは、その人たちに加え、甲子園目指して練習に励んだ高校時代のチームメートのために。

そして、きっとこれからは、自分を送り出してくれたロッテの関係者のために。

それぞれ感謝の思いと、ある種の申し訳思いとを抱きながら、彼はこれから未知の世界に向かう。

彼の人柄や思いを知り、今まで以上に応援したくなった。

まだ十分な活躍が期待できるほど強い身体ができているとは言えないと思う。

活躍できる身体を強化しながら、未来に輝けるよう、進んでいってほしい。

 

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