奄美 海風blog

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寅次郎独白その1 「セミが鳴いております」

2007年06月20日 | You Tube 動画

セミが鳴いております。

奄美大島は、まもなく梅雨が
あける頃でございます。

わたくし、こうして奄美の山を散歩しながら
小さな生き物たちを観察しておりますと
遠く離れた、向こう東京は葛飾柴又の、そうでございます、わたくしの
生まれ故郷を思い出すのでございます。(この独白はフィクションです)

今頃、とらやの皆は元気でやっているのでございましょうか。

わたくしのたったひとりの、心やさしい妹さくら、
その夫の博、息子の満男、
おいちゃん、おばちゃんたちはどうして
いるのでございましょうか。
忙しい、日々の労働にいしそしんでいるのでございましょう。

気温があがってまいりました。
お昼でございます。
30度になろうとしております。

070620newt1_1 いもりを見つけました。
黒い、いもりでございます。
名前はぞんじあげません。

どこを、どお間違ったのでございましようか、
自然公園の中の、舗装道路にまよいこんでしまって
森のなかえ戻れずにいるようでございます。

人間さまが、こさえた、この土手。その向こうの豊かな森に
はやく戻らないと死んでしまうかも知れないのでございます。
この土手は、こいつにとって途方もなく大きなカベでございます。

気の遠くなるほど向こうにあるコンクリートの割れ目まで
ひたすら、歩くしかないのでございます。こいつは、
それにまだ気づいてはおりません。

日が暮れるまでには、帰れるのでしょうか。
ひたすらあるくのでございます。

けなげに生きる、このいもりを、
じーっと見ておりますと
わたくし、ガラにもなく
妙に、もの悲しーい、気持ちになったのでございます。

そこでわたくしは、こう考えました。

こいつをひょいとつまんで、もちあげてやっても、
いかほどのことになるんでありましょう。

柄にもなく、こういうことを申しあげるのも
わたくしが、江戸川のほとりで生まれ、
土手の上から川をながめて
育ったせいでございましょうかねえ。

070620newt2 日が射してまいりました。セミは鳴きつづけております。

チョウチョがふたつ、みっつ乱舞しております。

思いおこしますと、
わたくしがこの奄美大島へやってきて
10年あまりの月日がたちました。

わたくし、近ごろ、この人情豊かで、
美しい自然にめぐまれた
島の歴史など、おくればせながら、
勉強を始めたところでごさいます。

それにいたしましても、皆様、
あつうございます。

寅次郎独白その2 「川が流れております。秋になりますと、このあたりには・・・」につづく、かも