カフェテラス

テラスの片隅で一人心に呟くように

Y・旅立ちの夜

2004年07月26日 | ▼ 思い出綴り
その春卒業した少年たちは、まだ中学生の雰囲気を持っていた。
夕方から、三々五々集まった少年9名で、応接間はいっぱい。時々、笑い声や拍手が起こり賑やかな集いだった。

夕食が終わり、応接間の賑わいは、お風呂場に移動した。

一つの電気バリカンが、次々に少年達の手から手に渡り、真ん中の風呂椅子に座ったYの髪を刈り上げていく。そう長髪でもなかったが、カッコよかったYの黒い髪が床のタイルにちらっばっていく。
笑い声も無くなり風呂場からは、バリカンの音だけが、静かさを破る。

その夜、Yは、父親の運転する車で、中国地方へ向けて出発した。
Yも少年たちも、頬を伝う涙を拭わず手を振り声を掛け合っていた。

主の居なくなった応接間で、少年たちは、暫く泣いていた。
それぞれの進学先に別れる いい仲間たちの中での、一番早い、Y旅立ちの夜の出来事だった。

少年犯罪が低年齢化し、凶悪な犯罪が取りざたされていた頃の
Yとその仲間たちの、健全な成長に、Yとの別れの寂しさを凌ぐ喜びを感じた。
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夕立の贈り物

2004年07月26日 | ☆ ふるさと・大和
   暴れまわった雷が
   次第に遠くなった

   山裾は
   白いベールの
   夜会服
   それは
   夕立の贈り物

   安らかな眠り
   これも
   夕立からの贈り物
   

 

   
   
       
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