

長い棒状の、のしもちだ。
包丁を入れるとサックと手応えのある切れ方をする。
お夕飯前だったので、3切れをオーブントースターで焼いた。
熱々を口に運ぶと、懐かしい味が広がる。
どんな味と尋ねられたら「郷愁」と応えたい。
昔、祖母や、母が蒸したサツマイモを厚めに切って、大きなざるに広げて一番、日の当たる屋根の上に干して作ってくれた、干芋の味に一番近い。
今スーパーで売られている白い粉を吹いた干し芋の味ではない。
表面は乾いて固くなっているが、中の芋は、太陽の光をいっぱい受けて、芋そのものの甘さを増している。
なんと懐かしい味なのだろう。そして、ほんのりと、サツマイモの香りがしてくる。