セツブンソウの花が早春の太陽の下で、小さい花を優しく、美しく咲かせています。
2月3日の節分の日に母の従弟が、95歳の天寿を全うして、お浄土の世界に旅立っていきました。お嫁さんを10年前に亡くしてからも、高齢ながらも家業に勤しんでおられました。季節の変わり目ごとに、「元気にしているかな。」で始まる電話が1時間くらいかかって世間のこと、離れて暮らす子供や孫のこと、などとりとめもなくよく話してくれました。沢山いた母の従弟の中で、家族ぐるみに親しくしていた人の一人でした。
「お父さんが亡くなったので、お参りしてくれますか」と葬儀の日程などと共にお知らせがありました。
世代が変わり本当に親しくしていた親戚の人たちもここ10年の間に次々と鬼籍に入って行っています。
「お父さんをよく知っていてくれる、血縁の皆さんで家族葬をしようと思っています。」
私はよく知らせてくれたことに感謝し、お通や、お別れの式にお参りさせていただくとのお返事をしました。
お花で埋もれた祭壇の前のお棺、その後ろの遺影は、今にもお参りの人たちに語り掛けるようなお顔で、対面させていただきながら、お元気だったころの姿のあれこれが偲ばれました。
菩提寺のご住職の読経で、式は執り行われましたが、私が1番感激したのは、読経の前と告別式終了後にお孫さんの、
「おじいちゃんに贈る、バイオリンの演奏」でした。
大阪音大で頑張っているといつかおじいちゃんの電話での話でした。卒業後は、教職についているとのことでした。
お孫さんの演奏は、何よりの贈り物だと、静かに流れるバイオリンの調べに涙がこみ上げてきました。
歌劇「セルセ」より「オンブラマイフ」・G線上のアリア・主よ人の望みの喜びよ 後でお母さんから曲目のメモを頂きました。
家族葬でのお別れの式に参列したのは初めてでしたが、みんな心から生前のご縁に感謝し、お浄土への安らかな旅立ちをお祈りしお別れすることができました。