Remembrance 2006/09/06-2020/06/08  2020/07/01-

   ある日のできごと、心の呟き、よしなしごとetc

老兵は消えゆくのみ‥か。~一枚の「のし紙」にも物語がある~

2008年08月06日 | 雑文

この6月と7月に友人が出産した。
新しい命の誕生の知らせは本当にうれしいもの。

新しい命とともに生きていこうとしている若い人たちのこれからの人生が幸多いものであるよう祈りながら、ここ数年、出産のお祝いにと私がプレゼントするのは、図書カード。
一冊でもたくさんの絵本を赤ちゃんに読んであげてほしい、ゆったりとした時間を家族で楽しんでほしい、家族共有の想い出を作ってほしい‥という願いがある。




6月出産の友人の図書カードを求めた書店では、のし紙に「御出産 御祝」と筆ペンで書いてくれた。
「御祝」が名前の真上にくるように、そして「御出産」をその右少々上に少し小さめの字で。



7月出産の友人の図書カードを別の書店で先日求めた。

レジには若い女性(現若)と、元は若かった女性(元若)がいた。

「図書カードは、クレジットカードで買えますか?」と、私。
「はい、大丈夫です。」と元若。
「図書カードは、クレジットカードでは買えないでしょう。」と、元若に言う現若。
「あ、すみません。勘違いをしていました。図書カードのご購入は現金でお願いします。」と、慌てて言う元若。

この二人はあまりいい関係ではないようだと感じる私。

「御出産 御祝」とのし紙に書いてくれるように頼んだ。

「のし紙はどうするのでしょう?私、初めてなんです。」と元若の女性は、現若の女性に聞いている。

やはり元若は最近レジに立ち始めたのだ。
元若の言動からも、なんだか現若に遠慮している空気を感じる。

「私が教えますから、こっちに来てやってください。」と、笑顔なく、キリッとした口調で、現若が元若に言った。、

どうやら元若にパソコンで作らせるようだ。
果たしてはパソコンが使えるのか、のし紙が作れるのかと不安になってきた。

現若の指導を受けながら動かす元若の指先は、ローマ字入力をしている。
ゆっくりながら「御祝」を打った様子だ。しかし、どうやらそのパソコンではその「御祝」の右少々上に少し小さめの字で「御出産」と打つことができないらしく、困った表情。

しかたなく、「『御祝』だけで、いいです。」と、私。

印刷をクリックしそうになった元若に、「のし紙入れたのですか。」と現若の鋭い声。

「プリンタに入れるのは、それではなく、こちらののし紙です。」と現若。

きれいに印字できたのを見て、ホッとした私。
しかし、そののし紙は2枚分のサイズだから、半分にカットしなくてはならない。

私の経験では、折り目を付けた紙を開いて歪まないように完璧にハサミで切ることなどできない。
折ったままの紙をカッターで切っても、切り口がどうしても完全にきれいな状態にはならない。

さて、どうやってきれいにカットするのだろうと見ていると、元若は、のし紙を半分に折り、開いて、ハサミで切り始めた。
レジのこちら側から見ていても、少なからずギザギザ状態であるのがわかる。

「え、こののし紙を使うの‥」と、私(心の中)。

きれいにカットするにはやはり、裁断機が絶対必要だと思う。しかし、切らなくてもいいサイズののし紙を準備したら何も問題がないだろうに‥。

スカッとではないが、ま、一応カットできたのし紙を元若が図書カードの袋に巻き付けてテープを貼った。

「ちょっとゆるい感じだし、のし紙の赤いラインが微妙にずれている‥」と、私(心の中)。

それを元若がかわいい紙でラッピング。

しかし、ためらい傷のように折り線が何本も入っていて、しかも角がキリッと出ていない。

「え、これ‥」と、私(心の中)。

私の表情を見て、「だめですか?」と、元若。
何とも言えない私。
「もう一度やり直しますね。」と、元若。

しかし、再挑戦の結果も同じ。
「また、だめですよね。私、不器用で‥」と、元若。
ラッピングも元若にとってこれが初めてのことなのかもしれない。
何とも言えない私。

レジには他のお客さんはいないが、現若は助け船を出そうという気は全くない様子。
冷めた目で見ているのみ。

3度目の挑戦をする元若。

3度目にもなると、上手くできない元若のことが気の毒に思え、私が嫌み100%の人間になっているような気もしてきて、「今回きれいに包めなくても『それでいいです』と言おう」と心に決め、祈る思いで元若の指先の動きを見ていた。

また角がキチッと合っていないのはわかったが、「ありがとうございます。」と、笑顔で受け取った私。




デパートの商品券コーナーやギフトコーナーのおねえさんのようにスカッと包むのは、なかなか容易なことではないと知った。
私だってきれいに包む自信などないわけで。
しかし、レジに立つからには実践で困らないように練習をせねば!!

同じ元若としては、この元若にエールを送りたいし、これからの頑張りに期待したいとは思うのだが、今後しばらく図書カードは絶対別の店で買い求めようと思いながら店を後にした私であった。

元若(もちろん私も含めて)は、経験等で獲得したちょっとした知識などはあるが、何事もテキパキできないし、「老兵は消えゆくのみ」なのかなぁと思う出来事だった。
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