隣り町のリサイクルショップへ、貰ひ物の服と靴を出してみる。
複数の上着がまとめて“一点”となってゐるところに、商売人魂があるやうだ。
大きな袋いっぱいに詰めたものが、総額¥220也!
複数の上着がまとめて“一点”となってゐるところに、商売人魂があるやうだ。
應対に出た店員は、あくまで気さくで、感じが良い。
お客がわめく買取金額の不満を躱すための、鎧なのだらう。
そもそも自分にとって価値の無くなった物を出すのだから、これくらゐが相應なのではないか?
なにやら面白いやうな、可笑しいやうな気持ちで受け取った小銭を懐へ仕舞ひ、最後まで丁寧な店員に送り出され、近くの公会堂に立ち寄る。
今日はホールでピアノの発表会が行なはれてゐるらしい。
ロビーの長椅子で退屈さうな顔をしてゐる“関係者”たちを見て、普段のレッスンより発表会のはうが張り合ひの無いものだ、と思ふ。
さういふ自分も、来週にはここの舞台で現代手猿樂を舞ふ。
客席の高齢者たちは転々バラバラにお喋りに興じてゐて、
でもそんな和やかさが面白くて可笑しくて──
さう言へば。
これだけは絶対に触れたくないと思ふ扇が、箪笥の底へ押し込んだままになってゐた。
南無三!
あれこそ、不要の服に混ぜてリサイクルショップへ出してしまふのだった……。